目次
ECサイトの売上低迷は「見落とされた構造的問題」が原因である
ECサイトの売上が伸びない。デザインも新しくした。SEO対策も施した。広告も打っている。なのに、数字が動かない。
こうした状況に直面すると、多くの担当者は焦りを感じます。深夜、MakeShop管理画面でアクセス数を眺めたり、GA4で直帰率をチェックしたりしながら、「何が足りないのか」と思い悩むことになります。
しかし売上が伸びない本当の理由は、単一の施策の不十分さではありません。実は集客・回遊・決済という3つの層における構造的な問題が、複合的に作用しているのです。
デザインだけを改善しても、サイト内で顧客が迷ってしまっては意味がありません。SEOで訪問者を増やしても、カート周辺で離脱が続けば売上には繋がりません。構造的な問題を特定し、各層を体系的に診断することが、真の売上改善への道を開きます。
ECサイト運営者が陥りやすい5つの誤解

誤解1:デザイン改善だけで売上が上がると思っている
見た目のリニューアルは必要ですが、それだけでは不十分です。ユーザーが商品を探すときに迷わない情報構造が、デザイン以上に重要です。
実店舗で買い物をするとき、客は売り場の配置を一瞬で理解します。食品コーナー、日用雑貨コーナーという風に。ECサイトもこれと同じです。株式会社猫の手では、見た目のデザインだけでなく、「どこに何の商品があるのか」を直感的に理解できるUI設計を重視しています。カテゴリをわかりやすく設計することで、ユーザーが迷わず目的の商品へたどり着ける導線づくりが成立します。
誤解2:SEOやメディア施策に偏りすぎている
訪問者数を増やすことばかりに注力すると、サイト内の動線が疎かになります。質の低い集客を大量にしても、購入に至らなければ意味がありません。
集客と購買導線は車の両輪です。どちらかに偏るのではなく、訪問者を確実に購買へ導く仕組みが必要です。
誤解3:新規客と既存客の動線を区別していない
新規訪問者とリピーターでは、必要な情報も行動パターンも異なります。新規客向けの「わかりやすさ」と、リピーター向けの「利便性」を同時に満たす設計が必須です。
ECサイトは新規客を迷わせない分かりやすさと、リピーターを飽きさせない利便性・新鮮な情報の双方を満たす動線設計が不可欠です。リピーター向けには更新の頻度や季節に合わせた情報の発信が欠かせません。
誤解4:カート周辺の細部を無視している
カート画面からの離脱はECサイトの売上に直結する問題です。ボタンのタップ領域をモバイルで十分に確保する、入力フォームのオートコンプリートを適切に設定する、エラーメッセージをリアルタイムで表示するなど、コーディング段階で離脱率を下げる実装が可能です。
こうした細部の工夫の有無が、最終的なコンバージョン率に大きく影響します。
誤解5:情報の鮮度や更新頻度を軽視している
季節商品や新着商品の情報が古いままでは、リピーターのエンゲージメントが低下します。定期的な情報更新は、新規客の信頼感を高め、既存客を飽きさせない必須要素です。
コンバージョン率低下の3層構造診断フレームワーク
ECサイトの売上が伸びない理由を特定するには、顧客の購買プロセスを3つの層に分けて考える必要があります。
第1層:集客導線の問題
顧客がサイトにたどり着くまでのプロセスです。訪問者数が少ない、訪問者の質が低い、特定のチャネルからの流入が偏っているなど、入口の問題が該当します。
この層の問題は、SEOやSNS、広告などの集客施策と密接に関わります。しかし集客だけの改善では、後続の層の問題があれば売上には繋がりません。
第2層:サイト内回遊の問題
訪問者がサイトに到着した後、どのように行動するかに関わる層です。直帰率が高い、ページ間の移動が少ない、商品を比較せずに離脱するなど、サイト内の導線設計における問題が原因になります。
この層の最適化には、情報構造とUI/UXの両面からのアプローチが必要です。訪問者が探している情報に素早くたどり着ける設計が重要です。
第3層:決済・離脱の問題
カートに商品を入れてから、購入完了までのプロセスです。カート内での離脱率が高い、決済ボタンをクリックしない、エラーメッセージが不明確など、最終段階における摩擦が売上に直結します。
この層の問題は、わずか数%の改善でも売上に大きく影響します。見落とされやすいからこそ、意識的に診断する必要があります。
各層を診断するための判断基準

集客導線の診断チェック項目
- 月間訪問者数が業界平均以下か
- 特定のチャネル(検索・SNS・広告)に偏りすぎていないか
- 新規訪問者数に対してリピーター率が低くないか
- 訪問者の検索キーワードと商品ラインナップにズレがないか
- 競合サイトと比べて有機検索流入が少なくないか
診断の目安:月間訪問者が1,000件未満の場合、集客導線の改善がまず必要です。
回遊導線の診断チェック項目
- トップページの直帰率が50%を超えていないか
- 平均ページビュー数が1.5PV以上あるか
- カテゴリページから商品詳細ページへの遷移率が30%以上あるか
- 商品ページの滞在時間が30秒以上あるか
- 関連商品や新着情報が定期的に更新されているか
診断の目安:平均ページビュー数が1.2PV以下の場合、サイト内の情報構造に問題がある可能性が高いです。
決済導線の診断チェック項目
- カートへの到達率が全訪問者の5%以上あるか
- カートから決済画面への遷移率が80%以上あるか
- 決済画面でのエラーが発生していないか
- モバイルでのボタン操作が容易か
- 決済完了までのステップが3ステップ以内か
診断の目安:カート到達率が5%未満の場合、サイト全体の問題として認識しましょう。決済画面での遷移率が80%未満の場合は、入力フォームやエラー表示に問題がある可能性があります。
| 診断層 | 正常値 | 要改善値 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 集客導線 | 月1,000以上の訪問 | 月1,000未満 | SEO不足・チャネル不足 |
| 回遊導線 | 平均PV 1.5以上 | 平均PV 1.2以下 | 情報構造・カテゴリ設計 |
| 決済導線 | カート到達率5%以上 | カート到達率5%未満 | UI/UX・フォーム最適化 |
実際の改善事例から見る「問題の特定と解決パターン」
事例1:販売食品企業が売上20倍達成した導線改革
ある印刷会社のEC事業は、月100万円の売上で停滞していました。集客は施されていましたが、カート離脱率が極めて高い状態でした。
診断の結果、問題は第3層の決済導線にありました。モバイルでの決済ボタンが小さく、複数のステップで入力エラーが生じていたのです。エラーメッセージも不明確でした。
コーディング段階での改善を加えました。ボタンのタップ領域を広げ、入力フォームのオートコンプリート機能を追加し、エラーメッセージをリアルタイムで表示する仕組みを実装しました。この改善により、カート到達率が7%から11%へ、最終的には売上が100万円から2,000万円へ成長しました。
事例2:BtoB美容商社の情報設計見直し
BtoB美容商社は、訪問者数は多いものの、サイト内での回遊が少ないという課題を抱えていました。
第2層の回遊導線を診断した結果、商品カテゴリが分かりにくく、新規客と既存客の両層に対応した動線設計ができていませんでした。新規客向けの「これは何か」という説明が不足し、既存客向けの新着情報の更新頻度も低かったのです。
情報構造を再設計し、新規客でも理解しやすいカテゴリ分けを実施しました。同時に、リピーター向けには季節商品や新着情報を週単位で更新する仕組みを導入しました。この改善により、売上は1,000%達成に至りました。
事例3:ベビー用品ブランドのリピーター導線設計
月3,000万円の売上を記録していたベビー用品ブランドでしたが、新規客の離脱率が高いという問題がありました。
診断を進めたところ、新規客向けの商品情報は充実していましたが、リピーターが「前回と同じ情報」に飽きていることが分かりました。新規訪問者、リピーター、両方に向けて構成を決めていなかったのです。
実店舗のような導線設計を導入し、新規客向けには基本情報を前面に、リピーター向けには季節限定商品や最新情報を目立つ位置に配置しました。リピーター向けの更新頻度も月1回から週2回へ増加させました。これにより、リピート率が向上し、既存客のエンゲージメントとコンバージョン率が高まりました。
やってはいけない診断の落とし穴

単一要因で原因を決めつける罠
「SEOが弱いから売上が低い」「デザインが古いから売上が低い」と、単一の要因で原因を決めつけてはいけません。実際には複数の層における問題が組み合わさっていることがほとんどです。
3つの層を体系的に診断してこそ、真の原因に辿り着けます。一つの施策に偏ることなく、全体像を把握することが重要です。
定性情報だけで判断する危険性
「なんとなくサイトが使いにくい気がする」という感覚的な判断では、改善の優先度を付けられません。GA4のデータ、コンバージョン率、カート到達率、ページ別の滞在時間など、定量情報に基づいた診断が必須です。
数値を見ることで、どの層にどの程度のリソースを投入すべきかが明確になります。
新規客対応に偏った設計の失敗
多くのECサイトは新規客を獲得することに注力しますが、リピーターが飽きる設計になっていることがあります。新規客の信頼感と既存客の利便性・新鮮な情報の両立が、長期的な売上成長には不可欠です。
診断後の構造的改善ステップ
問題層に応じた改善優先度の付け方
3つの層すべてに問題があった場合、どこから改善すべきか。一般的には第1層から第2層、第3層の順で進めるのが効果的です。
ただし例外があります。第3層(決済・離脱)の問題が明らかな場合は、これを優先します。なぜなら、カート離脱の改善は即座に売上に反映されるからです。改善効果が最も大きい層から取り組むことが、限られたリソースの中での最適な戦略です。
新規客と既存客の両層に対応した動線設計
株式会社猫の手では、新規客向けの「分かりやすさ」とリピーター向けの「利便性」を同時に満たす動線設計を実施しています。
具体的には、トップページから商品カテゴリへの導線を明確にしながら、同時にリピーター向けの新着情報コーナーや季節商品のセクションを配置します。これにより、初見の信頼感と再訪時の快適さが両立します。
情報の鮮度や更新頻度も重要です。新規客は「最新の商品がある」という印象を持つことで信頼感が高まり、既存客は定期的な更新により飽きずに訪問し続けます。
実装段階で見落とさないべき細部
改善計画が立たった後の実装段階でも、細部への気配りが重要です。
カート画面やチェックアウト画面では、ユーザーが迷わないことが最優先です。エラーメッセージは具体的に、ボタンのクリック領域はモバイルでも十分な大きさを確保する。こうした細部の工夫により、離脱率を数%削減できます。
また、ECサイトの法的要件も忘れてはいけません。プライバシーポリシーや特商法の記載は事業の種類により異なります。実装段階で法的なリスクがないか確認することも、長期的な事業継続には不可欠です。
診断が何を変えるのか
ECサイトのコンバージョン率低下や売上低迷の状況を、単なる「数字の問題」と捉える担当者が多いです。しかし構造的診断を行うことで、見えてくるのは「なぜ顧客が購買に至らないのか」という根本的な課題です。
この変化が重要なのは、改善策の信頼性が高まるからです。闇雲に施策を打つのではなく、データに基づいた改善を実施する。その結果、投資対効果が格段に向上し、限られたリソースで最大の成果が得られるようになります。
今後、ECサイト運営者に求められるのは、デザイナーやSEO専門家ではなく、数値を読み解きながら構造的な改善を指揮できるディレクターの視点です。GA4を眺めるだけでなく、3つの層を体系的に診断する習慣が、あなたの仕事内容を大きく変えることになるでしょう。
まとめ:「見える売上」と「隠れた構造問題」を分けて考える
ECサイトの売上低迷は、単一の施策不足ではなく、集客・回遊・決済の3層における構造的な問題が、複合的に作用した結果です。
売上が伸びない状況に直面したとき、多くの担当者は新しいデザインやSEO施策に頼りがちです。しかし本当に必要なのは、現状を3層で体系的に診断し、どの層のどの問題が最も売上に影響しているかを明確にすることです。
- 第1層の集客導線に問題がある場合:訪問者数と質の両面から改善が必要です。
- 第2層の回遊導線に問題がある場合:情報構造とカテゴリ設計を見直し、新規客と既存客の両層に対応した動線を作ります。
- 第3層の決済導線に問題がある場合:モバイル対応やエラー表示など、コーディング段階での工夫が重要になります。
各層の診断には、月間訪問者数、平均ページビュー数、カート到達率などの定量的な基準を使い、データに基づいた判断をしましょう。こうした診断と改善を繰り返すことが、ECサイトのコンバージョン率を改善し、売上を持続的に成長させる唯一の道です。
ECサイトに関するよくある質問
Q. ECサイトの売上が伸びない原因はどこにあるのですか?
売上が伸び悩む原因は、集客・導線・商品訴求・決済体験など複数の要素が絡み合っていることがほとんどです。どこか一点だけを改善しても効果が出にくいのはそのためです。株式会社猫の手では、サイト全体を構造的に診断し、印刷会社ECで月商100万円から2,000万円へ引き上げた実績のようなアプローチを軸に、課題の優先順位を整理したうえで改善施策をご提案しています。
Q. BtoBのECサイトとBtoCのECサイトでは、設計の考え方はどう違うのですか?
BtoBのECサイトは、購買決定に複数の担当者が関わること、見積・掛け払い・法人契約への対応など、商習慣に即した設計が求められます。BtoCとは異なり、信頼性や取引フローの明確さが成約率を左右します。BtoB美容商社で売上1,000%を達成した事例でも、法人ユーザーの購買フローに合わせたサイト構造の見直しが大きな改善ポイントとなりました。
Q. ECサイトの広告運用でCV率を改善するにはどうすればよいですか?
広告のCV率改善は、広告クリエイティブの最適化だけでなく、遷移先のLPや商品ページの訴求内容との一貫性が重要です。実際に広告CV率を0.2%から1.2%へ改善した取り組みでは、ユーザーが広告に抱いた期待をページ内で裏切らない設計を徹底しました。数値の変化はページ全体の構造見直しによってもたらされるケースが大半です。
Q. MakeShopを使ったECサイトでも本格的な売上改善は可能ですか?
はい、可能です。プラットフォームの特性を深く理解したうえで設計・運用を行うことが前提となります。株式会社猫の手はMakeShop特別認定パートナー兼アンバサダーとして認定されており、MakeShopの仕様に沿った最適な構造設計と運用支援を提供しています。ベビー服ブランドで月商3,000万円を達成した事例もMakeShopを活用した取り組みの一つです。
Q. ECサイトのSEO対策はどのように進めるのが正しいですか?
SEO対策は検索順位を上げることだけが目的ではなく、適切なユーザーを集めてサイト内での行動を促すことが本質です。キーワード選定・コンテンツ設計・内部構造の整備・ユーザー体験の向上を組み合わせて取り組む必要があります。EC業界SEO部門で2023年および2026年JBEA受賞の実績を持ち、1ページで月間300,000PVを達成したコンテンツ設計の知見を活かした支援が可能です。
Q. ECサイトのLPを改善すると売上にどれほどの影響がありますか?
LPの改善は売上に直結する施策のひとつです。訴求の切り口・構成・導線・ビジュアルなど、複数の要素を見直すことで大きな変化が生まれます。実際にLPの改善によって売上が8倍(月商30万円から240万円)に伸びた事例があります。ただし効果の出方はサイトの現状や商材の特性によって異なるため、まず現状診断を行うことをお勧めしています。
Q. ECサイト運営でSNSを活用するにはどのような方法がありますか?
SNSはECサイトへの集客経路として有効ですが、単にフォロワー数を増やすことよりも、購買につながる層に届けるための発信設計が重要です。1フォロワーあたり約5円から8円という費用対効果でフォロワー6,000人規模のアカウントを育てた実績をもとに、コンテンツ設計から運用の仕組みづくりまで一貫してサポートしています。
この記事を書いたのは・・・
猫の手 web部門
株式会社猫の手のWeb制作部門です!ECサイトに関するおすすめ情報やWEB制作に関する情報を発信していきます。makeshopやカラーミー、Shopifyやeccubeなど、ECサイトのサービス情報もお届けしていきます!

