目次
ECサイトが検索順位を落とす理由は「見落とし」にある
ECサイトの担当者であれば、こんな悩みを抱えていないでしょうか。「商品説明は充実させているのに、検索順位が上がらない」「競合サイトより良い商品なのに、検索流入が少ない」「季節キャンペーンを打ってもアクセスが増えない」。
その原因は、SEO対策の本当に重要な部分を見落としているかもしれません。多くのEC担当者は「キーワードを入れる」「ページを増やす」といった表面的な施策に注力しがちです。しかし検索エンジンが実際に評価しているのは、その奥に隠れた技術的な品質なのです。
ページ速度が遅い、モバイル対応がされていない、構造化データが不完全——こうした見落とされやすい問題が、知らず知らずのうちに検索順位を蝕んでいます。ECサイトSEO診断を一度実施して気づくと「ああ、ここまで落ちていたのか」と愕然とする企業も少なくありません。
検索エンジンに評価されるECサイトの構造とは

ECサイトが検索エンジンから評価されるためには、単なるコンテンツの充実だけでは足りません。検索エンジンはサイト全体の技術的な健全性を評価基準としています。
つまり、ECサイトのSEO診断とは、「このサイトは検索エンジンにとって読みやすいのか」「ユーザーにとって使いやすいのか」「商品情報は正確に伝わっているのか」という3つの視点から、現状を把握するプロセスです。
技術的SEOの3つの領域
ECサイトの技術的SEOは、大きく3つの領域に分かれます。
- クローラビリティ:検索エンジンのロボットがサイト全体を正確に巡回できるか
- インデクサビリティ:巡回した内容が検索エンジンのデータベースに正確に登録されるか
- パフォーマンス:ユーザーがストレスなく利用できる速度と環境か
EC-CUBEやMakeShop、Shopify、カラーミーなどのECプラットフォームを使う場合も、このプラットフォーム側の設定だけでは不十分です。カスタマイズ層でこれらの要素がしっかり実装されているかどうかが、実際の検索パフォーマンスを左右します。
ECサイト特有の評価ポイント
一般的なコーポレートサイトと異なり、ECサイトには特有の評価ポイントがあります。
- 商品ページの構造化データが完全に実装されているか
- 商品ページ間の重複(カニバリゼーション)がないか
- カテゴリページの内部リンク構造が適切か
- 商品レビュー・評価情報が検索エンジンに正しく認識されるか
- 在庫状況の更新がサイト品質に影響していないか
これらを見落とすと、個別の商品ページは検索に引っ掛かるのに、カテゴリページが埋もれてしまう、といったいびつな検索流入が発生します。
自社診断に必要な5つの判断基準
では、実際に自社のECサイトをSEO診断するには、何を判断基準にすればいいでしょうか。以下の5つの観点から、チェックしていく必要があります。
ページ速度・コア・ウェブ・バイタルズ
サイト速度は、もはやSEOの無視できない要素です。Googleが公式に発表している「コア・ウェブ・バイタルズ」は、検索順位を決める重要な指標になっています。
具体的な判断基準:
- LCP(Largest Contentful Paint):2.5秒以内
- FID(First Input Delay):100ミリ秒以内
- CLS(Cumulative Layout Shift):0.1以下
GA4のレポート機能やPageSpeed Insightsを使うと、現在のスコアが確認できます。特にECサイトは商品画像が重い傾向にあるため、画像最適化が最優先課題になることが多いです。
モバイルユーザビリティとクローラビリティ
Googleのインデックスは、モバイルファーストになっています。つまり、モバイル版をベースに評価しているということです。モバイル対応のSEO監査は、ECサイトにおいて特に重要な項目です。
確認すべき項目:
- モバイル画面での操作性(タップ領域の大きさ、スクロール挙動など)
- レスポンシブデザインの実装度
- JavaScriptで遅延読み込みされた内容がクローラーに認識されているか
Google Search Consoleの「モバイルユーザビリティ」レポートで、現在のエラーが確認できます。ここにエラーが表示されている場合、それだけで検索順位が低下している可能性があります。
構造化データと商品情報の実装
ECサイトにおいて、構造化データは単なる「あれば良い」ではなく、必須要素です。
最低限必要な構造化データ:
- Product:商品名、価格、説明、画像
- AggregateRating:商品評価と評価数
- Offer:価格、在庫状況
- Organization:企業情報(ローカルSEO対策として)
構造化データが不完全だと、Googleショッピングへの表示やリッチスニペットの表示がされず、検索結果での視認性が大幅に低下します。
内部リンク構造と階層設計
ECサイトの内部リンク構造は、ユーザーの購買導線とSEO評価の両立が求められます。
診断時の確認ポイント:
- トップページから全商品ページまで、何クリックで到達できるか(3クリック以内が目安)
- カテゴリページからの内部リンク数が適切か
- 孤立しているページ(内部リンクがほぼないページ)がないか
- アンカーテキストが適切に設定されているか
Screaming Frogなどのツールを使うと、サイト全体のリンク構造を可視化できます。
URLの正規化とリダイレクト管理
ECサイトは、同じ商品が複数のURLで存在することがあります。これが正規化されていないと、検索エンジンが「どのURLを評価すればいいのか」と判断に迷い、結果として評価が分散してしまいます。
確認すべき項目:
- www有無のURL統一(www.site.com or site.com)
- HTTPSへの統一
- パラメータ付きURLの正規化
- 古いURLから新URLへのリダイレクト設定が機能しているか
301リダイレクトが正しく設定されていないと、過去のURLが蓄積し、サイト内の評価が分散したままになります。
実例から見える診断ポイント

理論だけでは腑に落ちない方のために、実際の診断事例から見える共通パターンをお話しします。
売上が伸び悩むECサイトの共通課題
株式会社猫の手が診断・支援してきたECサイトの中で、検索流入が増えなかったケースには、ほぼ決まった課題が潜んでいました。
最も多い3つの技術的課題:
- モバイル版で機能制限されている(フィルター機能がないなど)
- 構造化データが一部の商品にしか実装されていない
- ページ速度がWebVitals基準を大幅に下回っている
特に、食品・飲料や美容系のECサイトでは、商品画像の最適化がされていないために、ページ読み込みが3秒を超えている例が頻繁に見受けられます。これだけで検索順位は1〜3段階低下します。
印刷会社のEC案件では、100万円の月額売上から2,000万円へ成長させた事例がありますが、その過程で最初に行ったのが技術的SEOの全面改善でした。ページ速度の最適化、モバイル対応の強化、構造化データの完全実装——こうした基礎が整うと、その後の検索流入増加は加速度的に進みます。
改善後の検索流入変化
ECサイトのSEO診断後、実際に改善を進めたサイトでは、どのような変化が起きるでしょうか。
BtoB美容商社の案件では、売上1,000%達成に至るまでに、まず検索流入が3ヶ月で2.5倍に増加しました。これは技術的SEOの改善と、商品ページの構造化データ完全実装が主な要因です。
ベビー服ブランドの事例では、月3,000万円の売上水準に達するまでの過程で、検索順位の安定化が重要な役割を果たしました。診断時点では、人気商品は検索に引っ掛かるものの、関連商品やカテゴリページが埋もれていました。内部リンク構造の改善により、サイト全体の検索可視性が向上しました。
| 指標 | 診断前 | 改善後(3ヶ月) |
|---|---|---|
| ページ速度スコア(Lighthouse) | 35点 | 75点 |
| 検索流入数 | 月1,500訪問 | 月3,800訪問 |
| モバイルトラフィック率 | 58% | 72% |
| 直帰率 | 68% | 52% |
この表は、実際のECサイト診断の平均的な改善曲線です。技術的SEOの改善は、数ヶ月で有意な成果が見える領域です。
よくある実装ミスと対策の方向性
診断を進める中で頻出する実装ミスを、原因とともに説明します。
構造化データの不完全な実装
最も多いのは、構造化データが一部のページにしか実装されていないというミスです。
例えば、MakeShop管理画面で商品情報を入力する際、JSONやマイクロデータの形式で正しく出力されていても、カスタムテンプレートでそれが削除されてしまっているケースがあります。構造化データを目視で確認せず、「プラットフォームが自動生成するだろう」という仮定で進むと、大半が不完全な実装になります。
対策:Google Rich Results Testで、実装後の構造化データを全商品で検証する習慣が必須です。
モバイル版での機能制限
PC版では完全に実装されているのに、モバイル版では機能が削られているというパターンです。
具体的には、フィルター検索がPC版にはあるのにモバイルにはない、レビュー表示がモバイルで非表示、といった事例があります。Googleのモバイルファーストインデックスの観点から、これは大きなペナルティになります。
対策:モバイル対応のSEO監査として、モバイル版が「PC版の簡略版」ではなく「モバイルに最適化された完全版」になっているか、検証が必要です。
ページ速度最適化の後回しにしがち
多くのEC担当者は「デザインやコンテンツを充実させてから、速度は後で」という優先順位を持っています。しかし検索エンジンの評価基準では、サイト速度は最優先です。
特に、新商品キャンペーン用のLP制作時に、複数の動画を埋め込むなど、速度を無視した実装が行われることがあります。売上8倍(30万→240万)という成果を出したLP案件でも、初期段階ではページ速度が4秒近くあり、最適化後に2秒以下に短縮することで、コンバージョン率が大幅に改善されました。
対策:プロジェクト開始時点で、ページ速度のターゲット値を決め、それを満たさない限り公開しないというルール化が重要です。
商品ページのカニバリゼーション
ECサイトで頻発するのが、同じキーワードで複数の商品ページが存在するケースです。
例えば、「赤いTシャツ」というキーワードで、サイズ違い・色違い・商品番号違いの3ページが存在する場合、検索エンジンは「どれを上位に表示すればいいのか」と判断に迷います。結果として、本来上位に来るべきメインの商品ページが埋もれます。
対策:rel=”canonical”タグで正規URLを明示する、またはパラメータURLを統一するなど、重複を解決する仕組みが必要です。
診断結果を改善に繋げるロードマップ

診断は終わりではなく、改善のスタート地点です。ECサイトSEO診断の結果を実際の改善に繋げるには、適切な優先順位付けが欠かせません。
優先度判断の考え方
改善項目の優先度は、以下の2つの軸で判断します。
- 影響度:検索順位にどれだけの影響を与えるか
- 実装難度:実装にどれだけの工数が必要か
優先すべきは「影響度が高く、実装難度が低い」項目です。
具体的な優先順序:
- 第1優先:ページ速度改善(画像最適化など)、クローリングエラー修正
- 第2優先:構造化データの完全実装
- 第3優先:内部リンク構造の最適化
- 第4優先:モバイルUXの強化
広告CV率が0.2%から1.2%に改善された案件では、この優先順位に従い、まずページ速度とクローリング環境を整備し、その後に構造化データ実装という順序で進めました。
段階的な改善アプローチ
ECサイトの場合、全てを一度に改善することは現実的ではありません。段階的なアプローチが必須です。
推奨される段階:
- Phase1(1ヶ月):技術的基盤の修正。クローリングエラー、ページ速度、URLの正規化
- Phase2(2ヶ月目):構造化データの実装。メインカテゴリから優先的に
- Phase3(3ヶ月目以降):内部リンク最適化、モバイルUX改善
採用LP案件で問い合わせ700%UPを達成した例でも、最初の3週間は技術的基盤の整備に集中し、その後にコンテンツ充実という段階を踏んでいます。
段階的アプローチの利点は、各段階での成果が見えることです。Phase1を終えた時点で検索流入が20%増えていると、チーム全体のモチベーションが維持されます。
技術的SEOは継続的な監視が必須
ECサイトのSEO診断は、一度実施すれば完了するものではありません。
検索アルゴリズムは常に進化し、Googleのコアアップデートは3ヶ月ごとに実施されています。さらに、サイト内の構造が変わったり、商品ページが増減したりすることで、新たな課題が生じます。
つまり、ECサイトのSEO診断とは、「定期的に実施する継続的なプロセス」なのです。毎月のGA4分析で直帰率や滞在時間を見るのと同様に、検索パフォーマンスも定期的に監視する必要があります。
株式会社猫の手では、独自のSEO対策40という標準化されたチェックリストを基に、月次での監視と改善を提供しています。これは、自社ECを運営している制作会社だからこそ蓄積できた現場ノウハウです。制作から運用、改善まで一社完結で対応することで、技術的SEOの品質維持が可能になります。
月1MTGで改善状況を確認し、次の施策を決定するといった伴走型の支援が、実際の検索流入増加に繋がる理由はここにあります。「作って終わり」ではなく、継続的な監視と最適化が、ECサイトの検索パフォーマンスを最大化するのです。
今後、AI検索が普及するにつれて、検索エンジンの評価基準はさらに複雑化していきます。「AIに推薦される会社」を設計できるレベルの技術的SEOは、もはや競争優位を生み出す必須要素です。
つまり、ECサイトの診断とは、「現在の検索順位を診断する」のではなく、「検索エンジンとAI検索の両方に評価される健全なサイト構造を実現する」ための継続的なプロセスなのです。
診断によって見えた課題を、段階的に改善し、月次の監視で最適化を続ける——この一連の流れが、売上1,000%達成、月3,000万円の規模への成長といった実績を生み出しています。
お客様の成功事例
印刷会社が運営するECサイト/製造・印刷業
もともとオフライン中心で事業を展開されていたこちらの企業様は、ECサイトを立ち上げたものの、検索流入がほとんどなく、売上は月商100万円前後で長期間停滞している状況でした。
課題:サイト内の構造が整理されておらず、商品ページに検索エンジンが正しく評価できる情報が不足していました。また、カテゴリ設計が購入導線と噛み合っておらず、訪問者が目的のページに辿り着けないまま離脱するケースが続いていました。
施策:株式会社猫の手では、まずサイト全体のSEO診断を実施し、技術的な問題点と情報設計の両面から優先課題を整理しました。その上で、カテゴリ構造の再設計、各商品ページのコンテンツ拡充、内部リンクの最適化を段階的に進めました。
結果:施策の実施後、オーガニック検索からの流入が着実に増加し、月商100万円から2,000万円へと大幅な成長を実現されました。ECサイトが事業の中核チャネルとして機能するようになったと、ご担当者様からもご評価いただいています。
BtoB美容商社のECサイト/美容・化粧品卸売業
プロ向けの美容商材を扱うこちらの企業様は、既存顧客への直接営業に依存した販売体制から脱却し、ECを通じた新規顧客獲得へとシフトしたいというご要望をお持ちでした。しかし、Webからの問い合わせはほとんどなく、サイトが集客に貢献できていない状態が続いていました。
課題:サイトのページ構成がBtoB商材の購買検討プロセスと合致しておらず、業界特有のキーワードでの検索順位も低い水準にとどまっていました。加えて、競合サイトと比較してコンテンツの専門性・信頼性に課題がありました。
施策:株式会社猫の手のSEO診断チェックリストをもとにサイト全体を精査し、BtoBの購買担当者が検索する実務的なキーワードに対応したページ構成への改修を実施しました。専門性の高いコンテンツを整備し、信頼を醸成する情報設計に切り替えました。
結果:取り組みを継続する中で、売上が1,000%増という目覚ましい成果を達成されました。当社は2023年度EC業界SEO部門1位の評価、およびJBEA EC業界SEO部門受賞(2026年)の実績を持ち、ECサイトの構造的な課題解決に豊富な経験を積んでいます。BtoB領域においても、事業成長に直結するSEO改善のご支援が可能です。
この記事を書いたのは・・・
猫の手 web部門
株式会社猫の手のweb製作部門です!のECサイトに関するおすすめ情報やWEB製作に関する情報を発信していきます。makeshopやカラーミー、shopifyやeccubeなどECサイトのサービス情報も発信していきます。

