目次
ECforce導入後に直面する運用課題とは
導入企業が陥りやすい3つのペインポイント
ECforce を導入したばかりの企業は、新しいプラットフォームへの期待と現実のギャップに直面することが多くあります。導入時には「これで運用効率が劇的に上がる」と想定していたのに、数ヶ月経つと当初の課題がそのまま残っているケースが珍しくありません。
ECforce 導入後に多くの企業が直面する、EC運用のペインポイントは主に3つあります。
最初のペインポイントは機能を活かしきれていない状況です。ECforce には多くの自動化機能や分析ツールが備わっていますが、それらを実際の業務にどう組み込むかが明確でないまま運用が進むことがあります。管理画面を開いても「この機能は何に使うのか」という疑問が生じたまま、従来通りの手作業が続くのです。
第二のペインポイントは運用フローと体制の整備不足です。ECサイトの日々の運用は、商品登録から注文対応、在庫管理、顧客サポートまで多岐にわたります。これらのタスクが誰の責任なのか、どの順序で進めるのか、どこで判断を求めるのかといった運用フローが曖昧なまま進むと、属人的な業務になり、スタッフの負担が増す一方です。
第三のペインポイントはデータ活用と改善サイクルの欠如です。ECforce を通じて得られるデータには、売上、アクセス、顧客行動など経営判断に必要な情報が含まれています。しかし、これらのデータを定期的に確認し、改善に活かす仕組みがないと、せっかくの情報は眠ったままになります。
課題の見極めが重要な理由
ECサイトの運用課題は、見た目は同じでも原因が異なることがあります。「受注処理が遅い」という悩みも、実は在庫確認に時間がかかっているのか、それとも受注後の顧客への連絡が複雑なのか、あるいは発送準備までの流れが非効率なのか、根本原因は企業によって異なるのです。
正確に課題の根拠を見極めることなく、表面的な対策をしてしまうと、工数をかけても問題は解決しません。むしろ時間と人員が消耗するだけになってしまいます。だからこそ、現在の運用のどこに問題があるのか、なぜその問題が生じているのかを構造的に理解することが、その後の改善効果を左右する最初の意思決定になるのです。
運用効率化を阻害する要因の構造を理解する

機能の活用不足による非効率
ECforce を導入した企業の多くが経験するのが、豊富な機能が実際の業務では使われていない状況です。これは製品が悪いのではなく、機能と実際の運用フローをどう接合するかという設計段階で意思決定が不完全なままになっているケースです。
具体的には、自動メール配信機能があるのに手動でメールを送信していたり、在庫連動機能があるのに別途スプレッドシートで在庫を管理していたり、といった重複作業が発生しています。これは決してスタッフのスキル不足ではなく、「どの機能をいつどのタイミングで使うべきか」という判断基準が組織内で共有されていないことが原因です。
この非効率を放置すると、運用スタッフの実際の負荷は導入前とほぼ変わらず、むしろ ECforce の管理画面を開く時間が追加されるため、総業務時間が増えることもあります。
運用体制と業務フローの整備不足
EC運用は、単一の業務ではなく複数の機能領域から成り立っています。商品管理、注文管理、顧客管理、販促管理、分析レポート——これらそれぞれが影響し合い、全体として顧客体験を作り上げています。
運用体制が不十分な企業では、これらの領域の責任と権限が曖昧になります。「誰が商品情報を更新するのか」「売上データはだれが毎週確認するのか」「キャンペーン施策の判断は誰が下すのか」といった基本的な役割分担が決まっていないと、業務は属人化し、判断が遅れ、重要な施策の実行が後回しになってしまいます。
また、業務フロー自体が可視化されていないと、「なぜこの作業が毎日 1時間かかるのか」という無駄を発見できません。フローを整備すると、初めて各タスクに要する時間と、改善の余地が明確になるのです。
データ活用と改善サイクルの欠如
ECforce から得られるデータは経営判断の重要な材料ですが、これを活かすには定期的な確認と分析、改善への活用が必要です。しかし、多くの企業では「月に1 回売上数字を確認する」という程度に留まっています。
より深い改善を実現するには、顧客がどのページで離脱しているのか、どの商品カテゴリーの転換率が低いのか、リピート購入率はどう推移しているのか、といった指標を定期的に追跡し、改善仮説を立て、施策を実行し、結果を検証するサイクルが必要です。
このサイクルがないと、データは単なる記録に過ぎず、組織の行動変化につながりません。結果として「なぜ売上が伸びないのか」という根本的な問題を解決する力が組織に蓄積されないのです。
課題を正しく判断するための4つの基準
現在の運用負荷がどこにあるのか
改善を始める前に、運用スタッフが何に時間を使っているのかを見える化することが最初のステップです。これは単なる主観的な「忙しさ」ではなく、実際の工数を可視化することを意味します。
例えば、ある日の営業担当者の業務時間を記録してみると以下のような内訳が見えることがあります。
- メール対応:2時間
- 注文データの確認と整理:1.5時間
- 在庫確認と商品更新:1時間
- 顧客からの問い合わせ対応:1.5時間
- 請求書や領収書の発行:1時間
このように細分化すると、どのタスクに最も時間がかかっているか、どこに改善の余地があるかが客観的に判断できるようになります。
機能と実際の運用のギャップを測る
ECforce が提供する機能と、実際の運用で使われている手段を比較することで、活用されていない機能領域が浮かび上がります。例えば、ECforce に自動メール機能があるのに Outlook から手動でメールを送信していないか、在庫連動機能があるのに Google スプレッドシートで別管理していないかといった具合です。
このギャップを測る簡単な方法は、「ECforce を使わずに外部ツールやスプレッドシートで行われている業務は何か」を洗い出すことです。それこそが、次のステップで最初に活用を検討すべき機能です。
改善効果を定量的に見積もる視点
改善の優先順位を判断するには、各施策がもたらす効果を定量的に見積もることが重要です。以下の基準を参考に、改善案ごとに効果を評価してみましょう。
| 改善内容 | 現在の工数 | 改善後の工数 | 削減効果 |
|---|---|---|---|
| 手動メール配信を自動化 | 週3時間 | 週0.5時間 | 週2.5時間削減 |
| 在庫確認フローを統一 | 日1時間 | 日0.25時間 | 日0.75時間削減 |
| 注文データの自動分類 | 週4時間 | 週1時間 | 週3時間削減 |
このように見える化することで、どの改善が実際に業務時間を短縮し、その時間をより高い価値の業務に充てられるかが判断できるようになります。
優先順位をつける優先度マトリックス
複数の課題がある場合、すべてを同時に解決することは難しいため、優先度をつけることが重要です。以下の 2つの軸で評価し、左上のセルから着手することをお勧めします。
- 縦軸:影響度(解決した場合の効果の大きさ) — 売上に直結する、スタッフの負担が大幅に減る、などの度合い
- 横軸:実現難度(解決に要する期間と工数) — すぐに実行できる、少ない追加費用で実装できる、などの度合い
「高影響かつ低難度」の課題から着手し、着実に成果を積み上げることで、組織内の改善への推進力が高まり、その後の本格的な運用改善へとつながります。
導入企業の具体的な課題事例から学ぶ

食品メーカーが直面した在庫管理の課題
食品流通を行うメーカーが ECforce を導入した際、直面したのが在庫管理の複雑さです。複数の販売チャネル(EC サイト、楽天、卸先)を運用する中で、ECforce のみで在庫を一元管理しようとしましたが、既存の販売管理システムとの連携が不完全なままになっていました。
結果として、スタッフは毎朝 ECforce と既存システムの両方で在庫数を確認し、売上げられない在庫状況を手動で修正する作業が続いていました。EC担当者の「毎日朝の 30分がこの確認作業に費やされている」という一言が、課題の実態を浮き彫りにしました。
この企業の場合、解決策は ECforce の機能強化ではなく、既存システムとの連携設計を改めて整備することでした。どの商品がどのシステムで管理され、どの情報が優先されるのかといった基本設計が不十分だったのです。
美容商社が経験した受注処理の非効率
美容関連商品を扱う商社が ECforce で受注管理を開始した際、予想外の課題が生じました。同社は大口顧客との取引が多く、それぞれ異なる請求方法や配送方法を要求してきます。ECforce のデフォルト設定では標準的な B to C 向けの処理フローになっており、顧客ごとの複雑な対応を システムでは自動化できませんでした。
その結果、注文を受けてから実際の処理(請求書作成、配送手配)まで に多くの手作業が必要になり、むしろ従来の方法より手数が増えてしまう状況が生じました。この企業の売上は 1,000% 達成するまでに成長していても、EC運用スタッフの疲弊は深まっていたのです。
この事例から学べるのは、導入前の業務分析が重要だということです。自社の顧客属性や取引特性を分析した上で、ECforce をどう カスタマイズするか、あるいはどの業務は外部ツールと連携させるかを設計することが必須なのです。
BtoB企業における顧客別対応の複雑化
BtoB 向けの製品を扱う企業が ECforce を導入したケースでは、顧客ごとに異なる価格設定や納期対応が必要になることが課題となりました。同じ商品でも顧客によって定価が違い、大口顧客には特別な条件を提供するといった複雑な取引慣行があるのです。
ECforce では顧客グループごとの価格設定は可能ですが、それぞれの顧客属性を正しく分類し、ルール化することが必要でした。この分類と ルール設定の作業が大きな工数を要し、「システムを使うための準備作業が膨大」という状況に陥ったのです。
この企業が解決に至ったのは、段階的なアプローチでした。まずは 3つの主要な顧客グループに分類し、最小限のルール設定で運用を開始し、数ヶ月の運用経験を積んだ後に細かいルール調整を加えるという戦略を取ったのです。
陥りやすい失敗パターンと誤った対策
機能追加だけで課題を解決しようとする落とし穴
ECforce の課題に直面した企業の中には、「新しい機能を追加導入すれば問題が解決する」と考えるところがあります。しかし、これは誤った判断です。多くの場合、既存の機能さえ活用しきれていないのに、さらに新しい機能を加えるだけで状況は悪化します。
実際の改善プロセスは、現在の機能をいかに活用するかというシンプルなところから始まります。業務フローを整理し、ECforce の機能をどう当てはめるか、どのタイミングで使うかを明確にすることの方が、機能追加よりも効果的です。
この誤った対策を取ってしまう背景には、運用課題の本質を見極めずに表面的な症状に対処してしまう傾向があります。症状(運用が遅い)に対して、ツール(新機能)を追加するのではなく、根本原因(フローの不備)に対処すべきなのです。
運用フロー整備を後回しにするリスク
EC導入企業の経営層は、導入後すぐに売上向上を期待する傾向があります。そのため、運用フローを整備するという「見えない業務」を後回しにし、営業や販促といった「目に見える活動」を優先させることがあります。
しかし、運用フローが曖昧なままだと、その後のすべての施策の効果が減衰します。例えば、新しいプロモーション施策で注文が 30% 増えたとしても、受注処理のフローが不完全なら、顧客満足度は上がらず、リピート率は伸びないのです。
株式会社猫の手が支援する企業のケースでは、運用フローの整備を最初の 3ヶ月で集中的に行い、その後の施策がスムーズに展開できる土台を作ることを重視しています。この「見えない業務への投資」こそが、その後の売上向上を支える基盤になるのです。
スタッフの操作スキル定着を軽視する危険性
ECforce は多機能なプラットフォームであり、スタッフがすべての機能を習得するには時間がかかります。多くの企業では、導入時に数回の研修を実施し、「以後は自分たちで学んでください」という方針になってしまいます。
しかし、実務の中では予想外の操作や複雑な状況が発生します。「この顧客に対しては、なぜこうしないといけないのか」「このデータが合わないのはなぜか」といった疑問が生じた時に、サポート体制がなければ、スタッフは試行錯誤に時間を費やすことになります。
スキル定着には、導入後数ヶ月の継続的なサポートが必要です。定期的な勉強会、質問に応じるヘルプデスク機能、運用マニュアルの整備といった仕組みが、実務レベルでのスキル定着を促進するのです。
運用課題を解決するための考え方と対策

段階的な運用改善のアプローチ
ECforce の導入後、すべての課題を一度に解決しようとすると、改善活動そのものが足かせになってしまいます。現場スタッフの通常業務が回らなくなり、改善プロジェクトは頓挫するのです。
効果的なアプローチは、最初の 1〜3ヶ月で「最も高い効果が見込める 1つか 2つの課題」に絞り、それを確実に改善することです。例えば、最初の月は注文処理フローの標準化、次の月は在庫確認業務の自動化、といった段階的な改善です。
このアプローチのメリットは 3つあります。
- 第一に、スタッフの心理的負荷が減り、改善活動に前向きに取り組める。
- 第二に、小さな成功体験が蓄積され、その後の改善への推進力が高まる。
- 第三に、各段階での学習を次の改善に活かすことができるようになるのです。
機能と体制の両面から最適化を進める
多くの企業は「機能をいかに活用するか」に注力しがちですが、同時に「体制をどう整えるか」も重要です。例えば、自動メール配信機能を導入しても、誰がメールテンプレートを作り、誰が配信タイミングを判断するのかという体制がなければ機能は活きません。
機能と体制の両面から考えることで、初めて実務レベルでの改善が実現します。
- 機能面の最適化 — ECforce のどの機能を活用し、どう設定するか
- 体制面の最適化 — 誰がどの業務を担当し、どのような判断基準で行動するか
これらを並行して設計し、実装することで、システムと人が調和した運用が実現するのです。
継続的に改善サイクルを回すしくみ
運用課題は一度解決すれば終わりではなく、時間とともに新しい課題が生じます。事業成長に伴い、顧客数や取扱商品数が増え、既存の運用フローでは対応できなくなるのです。
だからこそ、継続的に改善サイクルを回す仕組みが必要です。
- 月次レビュー — 運用データを確認し、問題がないか検証する
- 四半期分析 — より深い分析を行い、改善の機会を発見する
- 年次戦略立案 — 今後の事業成長に合わせた運用体制の再設計を検討する
このサイクルを組織に組み込むことで、ECforce が投資として継続的な価値を生み出し続けるのです。
ECforce導入後の成果を最大化するために
ECforce は強力なプラットフォームですが、その価値は導入だけでは生まれません。導入後の運用をいかに設計し、改善するかによって、その価値は大きく変わるのです。
つまり ECforce 導入後の運用課題を見極めることとは、現在の業務の非効率を構造的に理解し、機能と体制の両面から段階的に改善を進め、継続的に効果を高めていくプロセスである。
多くの導入企業が直面する課題は、実は導入企業に共通するパターンを持っています。機能の活用不足、運用フローの曖昧さ、データ活用の欠如——これらは規模や業種を問わず現れる問題です。
重要なのは、これらの課題が「通常の成長段階」であることを認識することです。導入後の運用効率化は、一度に達成されるものではなく、段階的に改善されるべきものなのです。現在の負荷がどこにあるのか、機能と実務のどこにギャップがあるのか、改善効果をいかに定量化するのかという 4つの判断基準を軸に、優先順位をつけて改善を進めることで、ECforce の真の価値が引き出されます。
お客様の声
健康食品メーカー EC推進部 マネージャー
ECforceを導入したものの、運用フローの見直しが追いつかず、最初の数ヶ月は社内で混乱が続いていました。株式会社猫の手に相談したところ、現状の課題を丁寧に整理していただき、どこから手をつけるべきかの判断基準を明確に示してもらえました。その後、広告経由のCV率が0.2%から1.2%まで改善し、数字として手応えを感じられるようになりました。「作って終わり」ではなく、運用まで伴走してくれる体制が、私たちには合っていました。
BtoB美容商社 営業推進責任者
ECforce導入後、システムは動いているのに売上が伸びないという状況が続いており、何が問題なのかを自社だけでは判断できずにいました。株式会社猫の手にサポートを依頼し、商品訴求の見せ方や導線設計を根本から見直した結果、売上1,000%という結果につながりました。数値だけでなく、「なぜそうなっているのか」を一緒に考えてくれる姿勢が、長期的な信頼につながっています。運用課題の見極めという意味では、外部の視点を入れることの重要性を実感しました。
印刷会社 EC事業責任者
もともと月商100万円規模でECを運営していましたが、ECforceへの移行後に何をどう改善すればいいか分からず、手が止まっていた時期がありました。株式会社猫の手のサポートを通じて、サイト構造・集客・CV設計を順を追って整備した結果、月商2,000万円まで事業を拡大することができました。導入後の「運用フェーズ」にこそ課題が集中するということを、身をもって理解した経験です。担当者の方が業界特性を理解した上でアドバイスをくれる点も、非常に助かりました。
この記事を書いたのは・・・
猫の手 web部門
株式会社猫の手のweb製作部門です!のECサイトに関するおすすめ情報やWEB製作に関する情報を発信していきます。makeshopやカラーミー、shopifyやeccubeなどECサイトのサービス情報も発信していきます。

