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ECサイトのSEO課題は「見落とし」から始まる
なぜECサイトはSEO対策で躓くのか
GA4の画面を開くと、直帰率が50%を超えている。Shopify管理画面で商品ページの流入数を確認しても、前月比でジリジリ下がり続けている。そんな状況に直面しているWeb担当者は、想像以上に多い。
ECサイトのSEO失敗は、急に起きるものではない。むしろ、問題を「見落とし続けた」結果が、ある時点で顕在化するという特徴がある。立ち上げ当初は検索からの流入もそれなりにあったのに、気づくと競合サイトに検索結果を占領されている。その時には、すでに複数の技術的課題が積み重なっているのだ。
商品数が増えれば増えるほど、内部構造は複雑になる。ページテンプレートは効率化の名目で統一され、メタデータ設定は後回しにされ、クローラビリティを阻害する要因は放置され続ける。気づいたときには、改善に必要な作業量が膨大になっている状態になってしまう。
失敗の共通点:技術的問題の後付け対応
ECサイトのSEO失敗には、明確なパターンがある。それは、技術的な設計段階での判断ミスを、後から対応しようとするという誤りだ。
本来なら、サイト構築の段階で内部リンク構造を最適化し、重複コンテンツを排除し、メタデータを一元管理する仕組みを用意すべき。しかし実際には、「まずサイトを立ち上げる」「その後で改善する」という順序になりがちだ。この「後付け対応」が、改善の難易度を格段に上げてしまう。
私たちが支援する企業の中にも、楽天やYahooから本店へ移行してきた企業は多い。そこで発見される課題の多くが、まさにこの「後付け対応の負債」だ。移行直後は問題が顕在化せず、数ヶ月経ってから「検索流入が伸びない」という相談が入る。その時点で初めて、サイト構造の根本的な問題に気づくのだ。
ECサイトが陥りやすいSEO失敗パターン5つ

パターン1:内部リンク構造の最適化不足
ECサイトの内部リンク構造は、商品点数が増えるにつれて複雑化する。カテゴリ階層が深くなり、関連商品のリンク設定がルール化されず、ページによってリンク構成がバラバラになるケースが多い。
その結果、重要な商品ページへのリンク経路が長くなり、クローラーがたどり着くまでに複数ステップを要するようになる。Webサイト制作の段階で内部リンク構造を可視化し、優先度付けすべきだが、ECサイトではこのステップが省略されることが多い。
パターン2:ページテンプレート化による重複コンテンツ
商品ページの効率化のため、テンプレートを導入することは正しい判断だ。しかし、その過程でメーカー説明文をコピー&ペーストし、ページ固有の説明文を作成しないという運用になると、重複コンテンツの温床になる。
複数の商品ページが同じ説明文を持つと、検索エンジンはどのページを本物と判定すべきか迷う。結果として、どのページも検索結果に表示されにくくなる。
パターン3:商品ページのメタデータ設定漏れ
titleタグやmeta descriptionは、ECサイト構築時には「後で修正する」という名目で、デフォルト値のまま放置されることが多い。しかし、その「後で」が永遠に来ないという話だ。
結果として、数千ページが一般的なメタデータのまま検索エンジンに登録されている。このような状況下では、検索結果でのクリック率は低迷する。
パターン4:モバイルユーザビリティの後付け対応
モバイルデバイスからのアクセスが7割を超える時代でも、ECサイトはデスクトップ中心で設計されることがある。その後、SEO対策として「モバイル対応が必要」という指摘を受けて、後付けで対応するという流れだ。
この場合、根本的な設計思想がモバイル対応になっていないため、修正範囲が広くなり、対応コストが膨らむ。
パターン5:クローラビリティ阻害要因の放置
JavaScriptで重要なコンテンツを読み込んでいたり、robots.txtで誤った設定がされていたり、リダイレクト設定が複雑だったりと、クローラーがサイト内を巡回しづらい要因は多い。
これらの問題は「見た目には支障がない」ため、見落とされやすい。しかし検索エンジンから見ると、大きな障壁となっている。
ECサイトのSEO失敗パターンは、内部リンク構造の最適化不足・重複コンテンツ・メタデータ設定漏れ・モバイル対応の遅れ・クローラビリティ阻害の5つに集約される。これらはいずれも「後付け対応」によって発生する技術的課題であり、早期に診断・改善することがECサイトSEOの成否を左右する。
改善すべき課題を見極める診断指標
指標1:クロール予算の消費効率
Google Search Consoleを開いて「クロール統計」を確認すると、どの程度のページがクロールされているかが分かる。
重要な商品ページがクロールされず、不要なパラメータ付きページばかりクロールされている場合、クロール予算が浪費されている。ECサイトの場合、商品点数が多いほど、この傾向が顕著になる。
指標2:インデックス率とカバレッジ状況
Google Search Consoleの「カバレッジ」レポートを見ると、「正常」「除外」「エラー」の3つに分類されている。ここで重要なのは、実際に検索に含めたいページが「除外」に分類されていないかという点だ。
ECサイトでは、商品ページの30%以上が除外状態になっているケースも珍しくない。この場合、本来検索流入できるべきページが、検索結果に表示されていない状態だ。
指標3:コアウェブバイタルの達成度
Largest Contentful Paint(LCP)、Cumulative Layout Shift(CLS)、First Input Delay(FID)の3つの指標は、Googleが検索順位に影響させると公表している。
ECサイトでは、画像や動画が多く、これらの指標が低下しやすい。特に商品画像の読み込み遅延は、ユーザー体験を害するだけでなく、SEO評価も低下させる。
指標4:検索意図とコンテンツのマッチ度
「商品名 + 価格」で検索するユーザーと「商品名 + 使い方」で検索するユーザーでは、求めている情報が異なる。ECサイトの商品ページは、どちらのニーズにも対応できるよう設計されていることが少ない。
その結果、検索結果に表示されても、ユーザーの期待にズレが生じ、直帰率が高くなる。これは順位低下につながる。
優先順位を判定する3つの判断基準

基準1:ビジネスインパクトの大きさ
改善できる課題は数十個あるかもしれない。しかし、すべてに同じ優先度で取り組むことはできない。最初に判断すべきは、その改善が売上やCVに直結するかどうかという点だ。
例えば、ベビー服ブランドのクライアントでは、特定カテゴリページのインデックス率が60%だったが、このカテゴリの売上が全体の40%を占めていた。この場合、このカテゴリの改善は最優先すべき課題になる。
一方、アクセスがほぼない商品カテゴリのメタデータ設定漏れは、改善の優先度が低い。
基準2:改善難易度と実装コスト
理想的な改善と、実現可能な改善は別物だ。内部リンク構造を完全に作り直す方が理想的でも、実装に3ヶ月かかるなら、その間にビジネスインパクトは減少する。
一方、メタデータ設定なら、ツールを使って数週間で対応できる可能性がある。短期間で大きな効果が期待できる改善から優先するという判断が重要だ。
株式会社猫の手のような制作会社に相談する際も、この点が重要だ。内製チームだけで対応できる課題と、外部の専門知識を活用すべき課題を切り分けることで、実装時間を短縮できる。
基準3:競合優位性への寄与度
競合サイトも同じような課題を持っているケースは多い。しかし、その中で競合が対応できていない部分を優先改善することで、相対的な優位性が生まれる。
例えば、業界全体で「商品ページの重複コンテンツ問題」が蔓延していたとしても、自社が最初にこれを解決すれば、その間の検索流入を独占できる。
| 診断指標 | 改善前の状態 | 改善後の状態 | 期待できるビジネスインパクト |
|---|---|---|---|
| クロール予算の消費効率 | 重要ページの月間クロール回数が1回未満 | 重要ページが週に1回以上クロール | インデックス率向上により月間PV 30~50%増 |
| インデックス率 | 商品ページの除外率が15~20% | 除外率が5%以下に低下 | 検索流入ページ数の増加により流入150%達成事例も |
| コアウェブバイタル | LCP 4秒以上、CLS 0.15以上 | LCP 2.5秒以下、CLS 0.1以下 | 順位が平均で1~2位上昇、直帰率15~20%低下 |
| メタデータ設定 | 数千ページがデフォルト値のままで、CTRが0.8%以下 | すべてのページに固有のタイトルとディスクリプション設定 | 検索結果でのクリック率が2~3倍に向上 |
実例から学ぶ:改善前後の数値変化
事例1:内部リンク構造の再設計で流入150%増
ある美容商社のクライアントでは、商品カテゴリが100を超えており、各ページからのリンク設定がバラバラだった。重要な商品ページへたどり着くまでに、5クリック以上必要な状況になっていたのだ。
内部リンク構造を再設計し、重要ページへの経路を2~3クリックに削減した結果、6ヶ月で検索流入が150%に増加。その企業のECサイト売上は1,000%達成へとつながった。
事例2:商品ページ統一化による重複排除で順位回復
ある印刷会社のECサイトでは、複数のメーカーから仕入れた商品を扱っていたが、メーカー説明文をそのままページに掲載していた。結果として、数百の商品ページが同じ説明文を持つ状態になっていた。
このサイトの売上は100万円から伸び悩んでいたが、各商品に対して独自の説明文と使用事例を追加することで、重複コンテンツを排除。3ヶ月後には月間売上が2,000万円へと成長した。
事例3:技術課題の段階的改善による安定化
ある企業では、モバイルページの読み込み速度が2秒を超えており、CLSも0.2以上の状態が続いていた。同時に、内部リンク構造の問題もあった。
一度にすべてを改善しようとするのではなく、まず画像最適化でLCPを2.5秒に短縮し、その後にCSSの修正でCLSを0.08に低下させ、最後に内部リンク構造を改善するという段階的アプローチを取った。
よくある失敗:改善方法の誤り

誤り1:SEOだけの視点で解決しようとする
SEO対策専門の会社に相談すると、時に「検索順位を上げる」という単一の目標だけで改善提案をされることがある。しかしECサイトのビジネスにおいて重要なのは、検索流入ではなく、その先の「コンバージョン」だ。
検索順位は上がったが、クリック率が変わらず、売上も伸びないという状況は、実は多い。これは、ユーザーの検索意図とコンテンツのズレが原因だ。SEO対策だけでなく、ビジネス視点でコンテンツを見直す必要がある。
制作からコンサルティングまで一社完結で対応できる支援者を選ぶことが、この誤りを避けるための一つの方法だ。
誤り2:すべての課題に同時に対応する
改善すべき課題が見つかると、つい「すべてを同時に改善しよう」という判断になりがちだ。しかし、その結果は決まっている。すべてが中途半端に終わり、効果測定ができず、次のステップが判断できないという悪循環だ。
限られたリソース、特にWeb担当者が兼任しているような企業では、優先順位の判定がより重要になる。改善効果が大きく、実装が簡単な課題から進めることが、結果として全体の改善を加速させる。
誤り3:外部要因ばかり対策して内部を放置
SEO対策というと、外部リンク獲得やコンテンツマーケティングといった「外部への働きかけ」を重視する企業が多い。しかしECサイトの場合、内部構造の問題が改善されていないと、どれだけ外部対策をしても効果が限定的だ。
例えば、ページの読み込み速度が遅ければ、せっかく流入してきたユーザーは直帰する。メタデータが未設定なら、検索結果でのクリック率は上がらない。内部構造の最適化あってこそ、外部対策の効果が発揮される。
ECサイトのSEO改善を成功させる構造
ステップ1:現状把握と課題の可視化
Google Search Consoleでカバレッジとクロール統計を確認し、GA4で流入源と直帰率を分析する。LighthouseでページスピードのECサイト技術的課題診断を行い、競合サイトを複数チェックして相対的なポジションを把握する。
ステップ2:技術的問題の優先順位付け
洗い出した課題に対して、先ほどの「3つの判断基準」を適用して優先順位を付ける。ビジネスインパクトの大きさ、改善難易度、競合との相対優位性の3つの軸で評価することで、限られたリソースを最大効率で配分できる。
この優先順位付けの過程で、経営層と現場の認識にズレが生まれることもある。その場合は、数字を使って「なぜこの順位なのか」を説明し、合意を取ることが重要だ。
ステップ3:段階的な改善と検証
優先順位の最も高い課題から改善を進める。ここで重要なのは、1つの改善に対して、最低1ヶ月の検証期間を設けるということだ。その改善によって何が変わったかを測定しなければ、次のステップの優先度を正しく判定できない。
改善と検証を繰り返すことで、組織全体のSEOリテラシーも向上する。最初は外部パートナーに支援を依頼していても、徐々に内部で対応できる範囲が増えていく。この「伴走型支援」の中で、企業のデジタル経営力が段階的に高まっていくのだ。
自社のSEO課題を正確に診断するために
ECサイトのSEO改善は、一度の診断で終わるものではない。ビジネス環境の変化、競合の動き、検索エンジンのアルゴリズム更新によって、優先すべき課題も変わる。だからこそ、定期的に診断を繰り返し、優先順位を再評価するという習慣が重要だ。
このプロセスの中で意味のある変化として感じられるのは、検索順位や流入数の変化だけではない。むしろ、「どの課題が本当にビジネスに影響するのか」という判断力が組織に根付くことが、長期的な競争力につながる。
未来予測として考えるなら、AI検索が進展する中で、単なる「SEO対策」という概念も変わっていくだろう。従来の検索エンジン最適化に加えて、AIによる推薦機能への対応も重要になってくる。株式会社猫の手が提供している「AIに引用・推薦される会社を設計する」という独自原則も、この変化を先取りしたものだ。現在からこうした視点を取り入れることで、今後の市場変化への耐性も生まれる。
自社のECサイトが今、どのような段階にあるのか。どの課題が最優先で、どのような順序で改善すべきか。その判断には、正確な診断と明確な基準が必須である。診断を先延ばしにすれば、その間にも競合は進み、改善に必要なコストは増大する。今、診断を受け、優先順位を定めることが、最も効率的な改善への道を開く。
お客様の成功事例
印刷会社が運営するECサイト/BtoB向け印刷資材販売
課題:自社ECサイトへの流入がほぼゼロに近い状態が続いており、売上の大半を既存顧客への直接営業に依存していました。サイト自体は公開されていたものの、商品ページの構成が検索エンジンに正しく評価される状態ではなく、競合他社に検索結果を占有されていました。
施策:株式会社猫の手によるSEO診断の結果、内部リンク構造の崩壊・カテゴリページのインデックス状況の乱れ・商品説明文の重複という三つの構造的問題が発見されました。診断指標をもとに改善の優先順位を明確化し、技術的SEOの修正と商品ページのコンテンツ設計を段階的に実施しました。
結果:施策開始から一定期間を経て、月商が100万円から2,000万円へと大幅に拡大しました。オーガニック経由での新規顧客獲得が定常的に発生するようになり、営業リソースへの依存度も改善されました。
BtoB美容商社/法人向け業務用コスメEC
課題:法人顧客をターゲットとした業務用化粧品のECサイトを運営していましたが、検索からの流入が伸び悩み、広告費に依存した集客構造から抜け出せていませんでした。また、商品カテゴリと検索意図のズレが診断により明らかになっており、適切なキーワード設計が行われていない状態でした。
施策:株式会社猫の手がEC業界SEO部門1位(2023年)および JBEA EC業界SEO部門受賞(2026年)で培った知見をもとに、BtoB購買フローに沿ったコンテンツ設計と内部構造の全面的な見直しを実施しました。MakeShop特別認定パートナーとしてのプラットフォーム最適化も並行して進めました。
結果:売上が1,000%増という成果を達成しました。広告への依存を落としながらオーガニック経由の法人問い合わせが継続的に発生する構造へと転換でき、SEO改善が単なる流入増にとどまらず事業構造の変化にまで寄与した事例となりました。
この記事を書いたのは・・・
猫の手 web部門
株式会社猫の手のweb製作部門です!のECサイトに関するおすすめ情報やWEB製作に関する情報を発信していきます。makeshopやカラーミー、shopifyやeccubeなどECサイトのサービス情報も発信していきます。

