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ECサイトの売上は「施策」ではなく「設計」で決まる
ECサイトの売上が伸びない悩みを抱えている企業は少なくありません。SNS広告をもっと増やそう、セールを頻繁にしよう、メールマガジンの配信数を増やそう。こうした施策に次々と取り組むものの、売上はなぜか改善されない。そんな状況が続いていないでしょうか。
実は、その根本的な原因は、施策の不足ではなく、サイト設計の段階で既に決まっているのです。どれだけ優れた施策を打ち出しても、顧客が迷う導線設計であれば、成果は生まれません。逆に、初期設計がしっかりしていれば、施策はシンプルで効果的になります。
本記事では、ECサイトの売上を左右する根本的な理由と、設計段階で何を考えるべきかについて、実際の事例を踏まえて解説します。
なぜ多くのECサイトは売上が伸びないのか

施策疲れに陥るECサイト運営者
多くのECサイト運営者は、売上が伸び悩むと施策に頼りがちです。広告予算を増やし、キャンペーンを企画し、プロモーションメールを送信する。毎日のように何かしらの施策を実行しているのに、成果が伴わない。その疲弊感は本当に大きいものです。
特に、Web担当者が少ない企業や、兼任状態で対応している場合、この施策疲れはさらに深刻になります。本来、戦略的に考える時間が必要なのに、日々の施策実行に追われ、根本的な原因を探る余裕さえ失われていくのです。
根本原因は初期設計にある
ここで重要な視点があります。ECサイトの売上は、その成否が初期設計の段階で大きく左右されるということです。設計とは、顧客がサイトに訪れた時の導線、情報の配置、購買までの流れを、どのように構築するかという根本的な判断です。
実店舗で店員が接客するように、ECサイトでは設計がその役割を担います。訪問者がどこで迷い、どこで疑問を感じ、どのポイントで離脱するのか。これらを事前に想定し、対応する設計がなければ、いくら施策を重ねても効果は限定的なのです。
売上が伸びないECサイトの構造的な問題
見込み客の予想が不十分
売上が伸びないECサイトの多くは、見込み客がどのような人物で、何を求めているのかの想定が不十分です。商品を扱う企業であれば、実店舗での販売経験から顧客像が見えているはずです。しかし、ECサイトに移行する際、その貴重な情報が十分に活かされていないケースが目立ちます。
実店舗で「この商品を求める客層は、こういった年代で、こんな課題を持っている」という予測があるなら、その情報をECサイトの設計に反映させることが不可欠です。見込み客の行動パターン、検索意図、購買のきっかけ。これらを明確にすることが、設計の第一歩なのです。
実店舗との乖離がもたらす負の影響
多くの企業は、実店舗とECサイトを別物として考えがちです。しかし、顧客の購買心理は、チャネルが変わっても本質は同じです。実店舗では何が売れ、どのような案内が功を奏しているのか。その成功要因をECサイトに転用することは、訪問者の行動原理を明らかにするために極めて有効な手段なのです。
例えば、実店舗で特定の商品が店頭の目立つ位置に置かれているのは、その場所での訴求効果が高いからです。ECサイトでも同じ論理で、ファーストビューにおける商品配置や情報階層を設計することで、顧客の行動を自然と導くことができます。
カゴ落ちが放置されている
もう一つ、多くのECサイトが見過ごしている構造的な問題があります。それがカゴ落ちです。統計によると、カゴ落ちの割合は60~80%に達するとも言われています。つまり、商品をカートに入れた顧客の大多数が、最終的に購入に至っていないのです。
この問題に対応することは、新規顧客を増やすよりもはるかに効果的です。なぜなら、既にカートに商品を入れている顧客は、購買意欲が高い状態だからです。カゴ落ち率を80%から70%に改善するだけで、実質50%の売上向上につながる計算になります。この事実に気付いているか否かで、戦略の優先度は大きく変わるのです。
良い設計と悪い設計の判断基準

実店舗の成功要因をECに転用できているか
設計の良し悪しを判断する際の最初の基準は、実店舗の成功要因がECサイトに反映されているかです。実店舗で成功している企業であれば、既に顧客行動の法則性が存在しています。
例えば、飲食関連の企業が、実店舗で月3,000万円の売上を達成しているなら、その企業の顧客層や販促方法、商品配置の工夫などが、確実に機能しているはずです。ECサイトの設計時には、「なぜその方法が実店舗で機能しているのか」を言語化し、デジタル環境に落とし込むことが重要です。
顧客離脱ポイントを把握しているか
設計段階で具体的に把握すべき項目として、顧客がどこで離脱するのかという点があります。商品一覧ページを見た直後なのか、商品詳細ページで離脱するのか、それとも決済画面で離脱するのか。
各段階での離脱率を想定し、その原因を事前に予測することが設計に含まれるべきです。例えば、決済画面での離脱が予想される場合、その段階で何を提示すれば、顧客の不安を軽減できるのかを事前に設計に組み込む。この先見性が、良い設計と悪い設計を分けるのです。
導線設計に一貫性があるか
顧客が訪問してから購買に至るまでの導線が、一貫した論理で構成されているかも重要な判断基準です。例えば、トップページで「初心者向け」と案内しながら、下層ページでは「上級者向け」の情報が提示されるような矛盾があると、顧客は迷います。
導線とは、単なるメニューの配置ではなく、顧客の心理状態の変化に応じた情報提示の流れです。検索から訪問、情報閲覧、比較検討、購買決定。この一連のプロセスにおいて、顧客が次に何をすべきかが常に明確である設計が、良い設計と言えるのです。
| 判断基準 | 悪い設計の例 | 良い設計の例 |
|---|---|---|
| 実店舗との連動 | 実店舗での販売実績を参考にしない | 実店舗の成功要因を事前に言語化し、ECに反映 |
| 離脱ポイント把握 | 各ページでの離脱原因を推測していない | 顧客の不安や疑問を段階ごとに予測し、対応を設計 |
| 導線の一貫性 | ページごとに案内内容がバラバラ | 顧客心理の変化に応じた情報提示の流れが統一 |
| カゴ落ち対策 | 後付けで対策を追加する | 決済フローを初期設計に組み込む |
カゴ落ちが生まれる構造的な背景
先ほどカゴ落ちについて触れましたが、より詳しく構造的な問題を掘り下げてみましょう。カゴ落ちはなぜ発生するのか、その原因は設計段階で対応できるものなのか、という点です。
一般的なカゴ落ちの原因は、予期しない送料の表示、複雑な会員登録プロセス、セキュリティ表示の不足、支払い方法の少なさなどが挙げられます。これらは全て、設計段階で対応可能な問題です。にもかかわらず、多くのサイトでは立ち上げ後に「カゴ落ち対策をしましょう」という議論が生まれるのです。
実際のECサイト運用の現場では、Shopifyの管理画面でカゴ落ちレポートを確認したときに初めて問題の深刻さに気付くことが多いです。数字を見ると、その時点で既に多くの機会損失が発生していることに気付く。この後付けの対応では、根本的な改善に時間がかかるのです。
- 予期しない送料の表示タイミング
- 複雑な会員登録プロセス
- セキュリティ表示の不足
- 支払い方法の少なさ
実例から学ぶ設計の違い

設計段階で売上が決まった事例
実際の企業事例を見ると、設計がいかに重要かが明確になります。例えば、とある印刷会社は、ECサイトのリニューアル時に、実店舗での営業プロセスをサイト設計に反映させました。
実店舗では、営業担当者が顧客の要望をヒアリングし、複数の提案を行い、比較検討させた後で購買決定に至っていました。このプロセスをECサイトに落とし込むため、カスタマイズ検索、提案パターンの自動表示、比較表の機能を初期設計に組み込みました。結果、売上は100万円から2,000万円に成長したのです。
この事例が示すのは、サイト立ち上げ時の設計段階で、顧客行動をいかに正確に予測し、それに対応する機能を組み込めるかが、その後の成長を左右するということです。
後付け施策では補えない構造的欠陥
一方、設計を軽視した結果、後付け施策では対応しきれなくなった企業も存在します。こうしたケースでは、サイト全体をリニューアルせざるを得ないほどの構造的な問題を抱えるようになります。
例えば、会員機能が不十分なまま立ち上げられたサイトでは、顧客の購買履歴を十分に活用できません。その結果、パーソナライズされた提案ができず、リピート率が低いままになります。後から会員機能を追加することは技術的には可能ですが、その時点で既に顧客行動のデータが蓄積されていないため、改善の効果は限定的なのです。
BtoB美容商社が売上1,000%を達成した事例も、初期段階での顧客情報管理の設計が、その後のマーケティング施策の質を大きく左右したケースです。顧客の購買パターン、業種、地域などの情報が初期段階で適切に管理できていたからこそ、後のメール施策やセグメント配信が効果的に機能したのです。
設計段階で陥りやすい失敗パターン
顧客行動の仮説検証なしでスタート
設計段階での最も大きな失敗は、顧客行動の仮説を検証しないまま、サイト構築をスタートさせることです。「こういう顧客が訪れるはずだ」という予測があっても、それが本当に正しいのかを確認する作業が重要です。
実店舗での販売実績や顧客アンケート、競合他社の分析など、複数の情報源から顧客像を立体的に構築する必要があります。この仮説検証が不十分だと、できあがったサイトが実際の顧客ニーズとズレたものになる可能性が高まるのです。
カゴ落ち対策を後付けにする
既に述べたように、カゴ落ち対策を設計に組み込まず、後から対応するというアプローチは、機会損失を大きくします。初期設計では、決済フローの最適化、支払い方法の複数準備、信頼性表示の配置などを、事前に考慮すべきです。
セキュリティバッジの表示場所、送料の見積りタイミング、会員登録の強制か選択かの判断。こうした細部が、カゴ落ち率に直結する要素なのです。後付けで対応するより、設計段階で「どうすればカゴ落ちを最小化できるか」を考える方が、はるかに効率的です。
複数プラットフォーム移行時の設計軽視
楽天やYahooショッピングから、自社ECプラットフォームへの移行時にも、設計を軽視するケースが多く見られます。既にプラットフォーム上で売上がある場合、「移行すれば同程度の売上が続くだろう」という安易な想定をしてしまうのです。
しかし、プラットフォーム側の導線や機能に頼っていた顧客行動が、自社ECでは成立するとは限りません。集客方法も異なり、顧客の発見経路も変わります。移行時こそ、改めて顧客行動を想定し直し、新しいプラットフォームに最適化した設計をする必要があるのです。
根本から売上を作る設計思考
実店舗の購買行動をECに落とし込む
設計思考の根本は、実店舗で実績がある場合、その成功パターンをいかにECに転用するかという視点です。顧客がなぜその商品を購買したのか、どのような情報が購買決定を促したのか、という具体的な動機を把握することが重要です。
例えば、実店舗で店員が「この商品は〇〇という用途に最適です」と提案することで売上が上がっているなら、ECサイトでも、商品ページの構成を工夫し、その情報を自然に提示できるようにする。ベビー服ブランドが月3,000万円の売上を達成しているのも、顧客の購買動機(子どもの成長に合わせたサイズ選び、季節ごとの買い替え)を、サイト設計に反映させているからです。
カゴ落ち防止を初期設計に組み込む
カゴ落ち防止の施策は、初期設計の段階で考慮されるべき要素です。例えば、次回サイト訪問時のリマインド機能、会員登録者向けのメールでの離脱ポイント追跡、カゴ落ち原因の分類と個別対応などが、事前に設計に含まれていると、スムーズに実装できます。
これらの対策により、カゴ落ち率を10%改善できれば、80%のカゴ落ち率から70%になり、実質的には50%の売上向上につながる計算です。この数学的事実を、設計段階で強く意識することが、優先度の正しい判断につながるのです。
顧客情報の適切な活用設計
現代のECサイト運用において、顧客情報の適切な管理と活用は不可欠です。購買履歴、閲覧履歴、会員属性情報など、様々なデータが蓄積されます。これらの情報をどのように活用するかは、初期設計の段階で決定されるべき事項です。
例えば、顧客情報をCRMツールと連携させ、メールマーケティングの精度を高めるのか、あるいは管理画面で簡易的に管理するのか。これの判断により、後の運用効率が大きく変わります。個人情報の扱いに関しても、プライバシーポリシーや特商法表示などを初期段階で適切に設計していることが、法的なリスク回避にもつながるのです。
まとめ:施策から設計へのマインドシフト
ECサイトの売上が伸びない根本的な理由は、施策の不足ではなく、設計段階での対応不足にあります。売上を短期的に左右する施策よりも、中長期的な成長を支える設計の方が、はるかに重要な要素なのです。
つまり、ECサイトの売上とは、初期設計の段階で既に大きく決定されており、その後の施策はその設計された枠組みの中で機能するものだということです。
- 実店舗での成功要因を言語化し、顧客行動の予測を立てる
- カゴ落ち対策を後付けではなく初期設計に組み込む
- 顧客情報の管理と活用方法を事前に決定する
- 導線の一貫性を確保する
今、売上に悩むECサイト運営者であれば、次の施策を実行する前に、現在のサイト設計が顧客の行動心理に対応しているのかを改めて検証することをお勧めします。その検証作業こそが、本質的な売上改善への第一歩となるのです。
お客様の声
産業機械メーカー / EC推進責任者
自社ECサイトへのアクセス数はそれなりにあるのに、なぜか受注につながらないという課題を長年抱えていました。相談してみると、商品ページの情報設計と導線に根本的な問題があることがすぐに指摘され、正直なところ「なぜ今まで気づけなかったのか」と反省しました。施策の実施後は問い合わせの質が変わり、商談化率が目に見えて改善しています。数字として結果が出始めてから、社内でもEC活用への意識が変わってきたと感じています。
食品卸売業 / マーケティング部長
ECサイトをリニューアルしたばかりのタイミングで相談しましたが、デザインよりも購買導線や在庫連携の設計に課題があると指摘を受けたことは、当初の想定とまったく異なる視点でした。最初は少し戸惑いましたが、説明を丁寧に聞くうちに自社の課題が整理されていく感覚がありました。すぐに劇的な改善とはいきませんでしたが、改善の優先順位が明確になったことで、社内の議論がかみ合うようになったのは大きな変化です。引き続き伴走してもらいながら取り組んでいる最中です。
化粧品製造販売会社 / 事業企画担当マネージャー
サイトへの流入をとにかく増やすことばかりに注力していた時期があり、広告費だけが膨らんでいくという状況に行き詰まりを感じていました。相談の中で「集客の前にサイト内の体験を整えることが先決」という話を聞き、これまでの投資の方向性を見直すきっかけになりました。データを基にした改善提案は根拠が明確で、社内の承認も取りやすかったという点が助かりました。まだ途中の段階ではありますが、指標の動きを見ながら着実に前進できている手応えがあります。
この記事を書いたのは・・・
猫の手 web部門
株式会社猫の手のweb製作部門です!のECサイトに関するおすすめ情報やWEB製作に関する情報を発信していきます。makeshopやカラーミー、shopifyやeccubeなどECサイトのサービス情報も発信していきます。

