
目次
1.はじめに:その“更新しづらさ”、仕方ないとあきらめていませんか?

「画像を1枚差し替えるだけなのに、レイアウトが崩れそうで怖い」
「ECサイトとブログが別々で、更新の手間が倍増している」
「もっと自由にカスタマイズできるECサイトにしたいけど難しそう…」
そんな悩みを感じている方におすすめなのが「ヘッドレスCMS」という新しい選択肢です。
ヘッドレスCMSは、ECサイトのデザイン自由度や更新性をぐっと高める仕組みで、最近では中小企業から大規模ブランドまで、幅広いECサイト運営者に選ばれています。
2.ヘッドレスCMSってなに?
「ヘッドレスCMS」とは、ざっくり言えば
“見せる部分(デザインや表示)”と“管理する部分(テキストや画像の登録)”を切り離した仕組みのことです。
通常のWordPressでは、記事を書いて「公開」すると、WordPressがそのままWebページとして表示までやってくれますよね。
それに対してヘッドレスCMSでは、記事やデータは管理画面に登録するけれど、
「表示」はまったく別の仕組みで自由に作る、というスタイルになります。
たとえばこんなイメージです:
通常のCMS | ヘッドレスCMS |
入力した内容がそのまま表示 | 入力内容はAPIで取り出して、別のサイトで表示 |
見た目も中身もWordPress | 見た目は自由、でも中身はWordPressで管理 |
表示の自由度がやや低い | 表示の自由度がとても高い |
たとえるなら、
「頭(見た目)」がついているWordPressを、あえて“胴体(中身)”だけにして、
好きな顔(デザイン)を好きな場所で付け替えられるようにするような感覚です。
3.ヘッドレスCMS × ECサイトのメリット
では、ECサイトとヘッドレスCMSを組み合わせると、どんな良いことがあるのでしょうか?
「見た目と中身を分けるなんて難しそう…」と思うかもしれませんが、実はとても合理的で、現代のEC運営にぴったりな仕組みなんです。
① 表示デザインの自由度がグッと広がる
通常のCMSでは、管理画面で記事を入力しても「この位置に画像」「この色のボタン」など、決まったレイアウトやデザインに縛られがちです。
でも、ヘッドレスCMSなら、見せ方は完全に自由。
WordPressのデータだけを取り出して、Shopifyや独自のECサイトに“好きな形”で表示できます。
たとえば:
- ブランド世界観を重視した、リッチなLPのような商品ページ
- ブログ記事内に商品情報を自然に表示
- スマホアプリやサイネージでも同じ情報を活用
などなど、デザインも媒体も思いのままです。
② 「1つの情報」を複数の場所で使いまわせる
「商品の説明文はブログにも載せたい」「新商品の紹介をLINEミニアプリにも表示したい」
そんなとき、同じ内容を何度もコピペ…していませんか?
ヘッドレスCMSなら、APIというしくみでデータを取り出せるので、
一度登録した内容を、Webサイト・EC・アプリなどいろんな場所に自動で反映できます。
情報の一元管理ができることで、
- ミスや更新漏れを防げる
- 作業の手間が減る
- サイト全体の一貫性も保てる
というメリットが生まれます。
③ページの表示速度が速くなる
ヘッドレス化により、静的サイト(HTMLの状態で生成されるページ)を使いやすくなります。
その結果、表示速度が大幅にアップ!
特に最近のGoogleは、表示スピードが遅いとSEO評価を下げる傾向があるため、
Core Web Vitals(ページ速度の指標)対策としても有効です。
④ 表示と管理を分けることで、セキュリティも向上
WordPressなどのCMSは、サーバーへの攻撃対象になりやすいことが課題です。
でもヘッドレスCMSで「見せる側」と「管理する側」を分離しておけば、
ユーザーがアクセスするフロント側にはWordPressが直接存在しないため、攻撃リスクが下がります。
セキュリティ対策の面でも、意外と頼れる構成なんです。
⑤ スタッフに優しい:使い慣れたWordPressで更新できる
「CMSが変わると、スタッフ教育が大変そう…」
という心配も、実はあまり必要ありません。
というのも、管理画面はWordPressのまま使えるからです。
スタッフは今まで通り、記事を投稿したり画像をアップしたりするだけ。
そのデータをAPIで取得して、別のサイトで“かっこよく”表示するという流れです。
慣れているツールを活かしつつ、最新の技術でサイトを進化させられる――
それが、ヘッドレスCMSのいちばんの魅力かもしれません。
4.実例紹介:WordPressヘッドレス+EC連携
実際にヘッドレスCMSとECサイトを連携させるには、どんな構成になるのでしょうか?
ここでは、WordPressを管理側に使いながら、表示は別の仕組みにする「ヘッドレス運用」の一例をご紹介します。
◎ サイトの構成イメージ
役割 | 使用するツール/技術 |
管理(CMS) | WordPress(REST APIを利用) |
表示(フロント) | Next.js や Nuxt.js などのモダンフレームワーク |
商品データ | Shopify/Makeshop/独自EC API |
在庫・価格情報 | 外部APIまたはスプレッドシート連携 |
◎ 具体的な連携の流れ
1.WordPressにブログ記事やお知らせを登録
→ REST APIで記事情報を取得できるように設定。
2.フロントエンド(例:Next.js)でデータを取得し、自由にデザインして表示
→ ブログ記事やキャンペーン情報を、ブランドサイト上に表示。
3.ECカートのデータは別APIで取得
→ 商品一覧や詳細ページでは、MakeshopやShopifyなどのAPI経由でデータを表示。
→ 在庫数や価格の更新はAPI連携または外部シート連動でリアルタイム反映。
4.静的サイト化して表示高速化&SEO対策
→ Jamstack(JavaScript, API, Markup)構成で、高速&セキュアなページ配信。
5.実際に感じた「ここが良かった/ここは難しかった」

よかったこと
デザインが完全自由!
→ ECのカート画面以外はブランドイメージに合わせて設計できた。
表示スピードが改善
→ ページ遷移が速く、ユーザー離脱が減った。
WordPressで更新しやすい
→ お知らせやブログは今まで通り投稿でき、社内メンバーも安心。
難しかったこと
APIの扱いに慣れが必要
→ 最初は「どこでどんなデータが取れるのか」が複雑に感じる。
キャッシュ管理が重要
→ 静的ページ化する場合、在庫のリアルタイム反映に注意が必要。
チームの連携がカギ
→ デザイナー/エンジニア/ディレクターの連携が以前より重要に。
6.ヘッドレスCMSが向いているサイト・そうでないサイト
向いているサイト
- ブランドイメージを大切にしたいECサイト
- 複数チャネル(Web・アプリ・デジタルサイネージなど)で情報を展開したい
- WordPressに慣れているスタッフがいる
- デザイン・スピード・セキュリティを重視したい
向いていないかもしれないケース
- とにかく早く安くサイトを立ち上げたい場合
- 頻繁な更新がなく、シンプルな構成で十分なサイト
- 社内にエンジニアがいない、または外部委託が難しい場合
7.まとめ:自由な設計と運用のしやすさ、どちらも叶える選択肢
「更新はしやすくしたいけど、デザインにも妥協したくない」
「ブログやお知らせを、もっと効果的に活かして売上につなげたい」
そんな悩みを持つECサイト運営者さんにとって、ヘッドレスCMSはとても有効な選択肢です。
ちょっと難しそうに見える仕組みですが、使い慣れたWordPressをそのまま使えるので、導入のハードルもそこまで高くありません。
ヘッドレスCMS導入をご検討中の方へ
株式会社猫の手では、ECサイトの構築や改善だけでなく、ヘッドレスCMSを活用した柔軟なサイト設計のご提案も行っています。
「自社に合うのか相談したい」「具体的な導入ステップを知りたい」など、お気軽にお問い合わせくださいね。
この記事を書いたのは・・・
南
猫5匹とにぎやかに暮らしています。 お買い物は、ほとんどネット通販。 「こんなサイトだったら、つい欲しくなっちゃうなぁ」 そんな気持ちを大事にしながら、 ECの売上アップにつながる工夫を考えています。