目次
先に結論
無形商品はECサイトで販売できます。ただし通さなければならない関門が3つあり、どれか一つでも引っかかると売れません。
- 法律:特定商取引法、資金決済法、業法のどれがかかるか
- カート:納品と返金の運用を標準機能で回せるか
- 決済:その商材で使いたい決済手段が使えるか
このうち3番目が見落とされやすい関門です。データを配信する仕組みなら、いまどきのカートはたいてい持っています。一方で、商材によっては決済会社が加盟店として受け付けません。カートを契約してサイトを作り込んだあとに決済で弾かれると、作り直しになります。
ただし、決済会社に断られたら販売そのものが不可能になるわけではありません。カード決済が使えなくても、銀行振込のように事業者側で入金を確認する手段は残ります。断られるのは「その決済手段が使えない」ことであって、「その商材が違法」という意味でもありません。
この記事では、無形商品を3つの型に分けたうえで、それぞれの関門を順に見ていきます。最後に主要7サービスの対応状況を並べます。
なお、個別の商材が規制の対象になるかどうかの最終判断は、所轄官庁と契約先の決済会社に確認してください。この記事は判断の前に何を調べるべきかを整理したものです。
無形商品を3つに分ける
「無形商品」とひとくくりにすると判断が進みません。規制も決済審査もカートの要件も、次の3つで大きく変わります。
- ダウンロード型:データを渡した時点で取引が終わるもの。画像、音源、動画、電子書籍、フォント、手芸の型紙、3Dプリンタ用データ、ソフトウェア
- 役務提供型:買ったあとに人が動くもの。オンライン講座、コンサルティング、添削、レッスンや施術の回数券、代行サービス
- 権利残高型:引き換えの約束そのものを売るもの。チケット、ギフト券、自社ポイント、会員権、ゲーム内通貨
ダウンロード型は、納品が一瞬で終わるぶん扱いやすい型です。役務提供型は、代金を受け取ってからサービスを提供し終えるまでに時間があります。この「まだ提供していない期間」が、後述する決済審査と法規制の両方で問題になります。権利残高型は、未使用のまま滞留した残高が事業者の手元に積み上がります。ここに資金決済法がかかります。
自社の商材がどれに当たるかを先に決めてください。以下はこの3つで場合分けして書きます。
決済で断られる商材がある
プラットフォームの規約と決済会社の規約は別物
カートの利用規約を読んで「禁止されていない」と確認しても、それだけでは足りません。決済を通すのはカートではなく決済会社だからです。
Shopify の利用規定は、違法行為の禁止や暴力の助長の禁止といった原則を示すにとどまり、商材ごとの禁止リストは載せていません。実際のリストは決済処理サービス側にあると明記し、そちらへリンクしています。つまり Shopify でストアを開けたことは、その商材で決済が通ることを意味しません。
Stripe が日本で断っている商材
日本で使われる決済のうち、Stripe は禁止業種と制限付き業種を全文公開しています。ここが具体例として一番読みやすいので引用します(最終更新は2026年5月13日)。
以下はあくまで Stripe が扱わない業種であって、日本の法律がこれらの販売を禁じているという意味ではありません。Stripe 自身も、合法であっても取り扱えない事業があると説明しています。
日本固有の禁止業種には、無形商品と重なるものが並んでいます。
- 金融商品や暗号資産の取引や投資、再販ビジネスまたはドロップシッピングビジネスの運営によって利益を得る方法に関するガイダンス、情報、またはツールを提供するコンサルティングサービスまたはアドバイザリーサービス
- ドロップシッピングおよび再販に関連するアドバイザリーサービス
- オンラインゲームやギャンブルに関するコンサルティングサービス、アドバイザリーサービス、予測サービス
- サイキックサービス、占い師
- 住宅ローンコンサルティング
- 国際結婚仲介ビジネス
- 私立探偵または警護サービス
- 特定商取引法で義務づけられている「特定商取引法に基づく表記」ページをウェブサイトに掲載していないビジネス
一つ目が、いわゆる情報商材と呼ばれるものの一部にあたります。ただし対象は書かれている範囲に限られます。金融商品や暗号資産の取引と投資、再販やドロップシッピングの運営で利益を得る方法を教えるものです。起業や営業や経営のノウハウを売る教材が一律に禁止されているわけではありません。最後の一つは商材の話ではありません。表記ページが無いというだけで禁止業種に数えられます。
追加のデューデリジェンス(審査)が要る制限付き業種にも、無形商品と重なるものがあります。
- 第三者のクリエイターが限定コンテンツやデジタル商品を販売できるプラットフォーム
- クラウドファンディングと資金調達
- サイバーロッカーおよびファイル共有サービス
- 遠隔医療サービス、オンライン薬局
- 売り手以外が保持するストアドバリューやクレジットの販売、ゲーム内通貨、チャージ済みの決済カード、ギフトカード
- 投資、融資、後払い、送金といった金融サービス
権利残高型がここに集まっているのが分かります。自分のサイトで自分のコンテンツを売るクリエイターは事前承認が不要とされている一方、他人のコンテンツを売る場を作ると審査対象になります。
他の決済会社が同じ線引きをしているとは限りません。ただ、カードネットワークの規則と提携金融機関の要件から来ている制約なので、傾向は近くなります。
なぜ無形商品の審査は厳しいのか
カード決済は立替払いです。カード会社が代金を先に加盟店へ払い、あとから利用者に請求します。回収できなければ損をするのはカード会社です。
無形商品では、この回収できないリスクが構造的に高くなります。
役務提供型では、代金を受け取ってからサービスを提供し終えるまでの期間が長くなります。その途中で解約や返金が起きると、チャージバック(利用者の申し立てによる売上の取り消し)につながります。また、荷物の追跡番号にあたるものが無いため、「受け取っていない」と言われたときに反証しにくいという事情もあります。
したがって、審査では次の点が見られます。サイトに特定商取引法に基づく表記があるか、返金の条件が書いてあるか、価格が事業実態に見合っているか。
前の2つは後述する法的な義務でもあります。3つ目は違います。価格が妥当であることを求める法律があるわけではなく、これは決済会社が自社のリスクとして見ている項目です。
すでに決済を入れていても、再審査になることがある
既存のショップに無形商品を追加する場合も油断できません。カラーミーショップのヘルプは、すでにクレジットカード決済を導入している店舗について「決済代行会社によっては再審査が必要なケースがございます」と案内し、契約中の決済代行会社への問い合わせを求めています。
実務としては、カートを選ぶ前に、扱う商材を具体的に伝えて決済代行会社に可否を確認してください。そのうえで、カード決済が通らなかった場合に何を使うかも決めておきます。銀行振込やコンビニ決済で受けられるなら、販売自体は成立します。
法律の関門は類型ごとに違う
すべての類型にかかる特定商取引法
インターネット上のウェブサイトで申し込みを受けるなら、原則として通信販売の規制がかかります。
原則としてと書いたのは、適用除外があるためです(法第26条)。営業のため、または営業として締結する契約には特定商取引法が適用されません。事業者向けにライセンスを売る場合などがこれにあたります。海外にいる人に対する販売や役務の提供も除外されます。ウェブ経由というだけで規制の対象が決まるわけではありません。
以下は、消費者向けに売る場合の話です。広告(商品ページと特商法表記)に表示すべき事項が定められており、無形商品では次の2点が有形商品と違います。
一つは送料です。権利と役務には送料という概念がないため、そもそも規定がありません。ダウンロード型でも、データの配信に運送は介在しないので送料は生じません。表示すべきは価格と、価格以外に負担させる金銭があればその内訳です。
もう一つは提供時期です。有形商品の「引渡時期」にあたるのが、権利では移転時期、役務では提供時期になります。「入金確認後、速やかに」といった書き方は前払式では認められますが、「できるだけ早急に」のような表現は時期を明確にしたことになりません。ダウンロードリンクをいつ送るのか、講座をいつから受けられるのかを、期間か期限で書きます。
最終確認画面に6項目を出す
2022年6月に施行された規定により、注文の最終確認画面にも表示義務がかかります(法第12条の6)。表示すべきは次の6項目です。
- 分量(役務なら提供の回数や期間)
- 販売価格または対価
- 代金の支払時期と方法
- 引渡しまたは提供の時期
- 申込期間の定めがあるときはその期間
- 申込みの撤回または解除に関する事項
これを怠ると行政処分の対象になるだけでは済みません。表示が無かったために「そういう条件は無い」と誤認して申し込んだ場合、消費者は申込みの意思表示を取り消せます。代金を返すことになります。
義務なのは6項目を表示することであって、独自の開発をすることではありません。まず既存の機能で満たせるかを確認してください。カートの標準の確認画面が何をどこまで出すかはサービスごとに違います。定期購入やサブスクリプションでは、各回の分量、次回の課金日、解約の期限まで出す必要があるため、標準の画面で足りなければそこではじめてカスタマイズを検討します。
「ダウンロード後は返品不可」の書き方
通信販売にクーリングオフはありません。代わりに、商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から8日以内なら消費者の送料負担で返品できる法定返品権があります(法第15条の3)。ただし広告であらかじめ特約を表示していれば、その特約が優先します。
この法定返品権の対象は売買契約です。条文は商品と特定権利について定めており、役務の提供を受ける契約はここに含まれません。オンライン講座やコンサルティングを「8日以内返品不可」と書いても、それは法定返品権の特約を表示したことにはなりません。役務については、広告と最終確認画面で申込みの撤回や解除に関する事項を表示する義務のほうがかかります。1回きりの役務なら撤回の可否と方法を、複数回または一定期間にわたる役務なら契約途中の解約の方法を書きます。
ここで注意すべきは、返品を断る書き方です。消費者庁は「返品についてはその都度御相談に応じます」という表示を、購入前に返品の可否を告げたことにならないとしています。応じない場合を具体的に挙げるか、応じない場合を除外例として示すことが求められます。
無形商品なら、返品に応じない時点を特定して書きます。ダウンロードのリンクを発行した時点なのか、実際にダウンロードされた時点なのか、講座の初回を受講した時点なのか。この線引きは自分で決めて、商品ページと最終確認画面の両方に書きます。
ただし、返品不可と書いてもすべてが免責になるわけではありません。
一つは契約不適合の場合です。ファイルが壊れている、リンクが届かない、配信が始まらないといったケースは返品特約とは別の話で、再送するのか返金するのかを別の項目として書いておきます。もう一つは、法律が消費者に与えている権利です。次に述べる特定継続的役務提供に該当する契約なら、事業者が定めた「返品不可」にかかわらず、クーリングオフと中途解約が適用されます。事業者側の特約で消せるものではありません。
役務提供型は特定継続的役務提供に該当することがある
オンライン講座やレッスンを売るなら、ここが最大の関門です。
特定商取引法は、次の7つの役務を特定継続的役務として指定しています。期間と金額の両方が要件を超えたときに規制がかかります。
| 役務 | 期間 | 金額 |
|---|---|---|
| エステティック | 1か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| 美容医療 | 1か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| 語学教室 | 2か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| 家庭教師 | 2か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| 学習塾 | 2か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| パソコン教室 | 2か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
| 結婚相手紹介サービス | 2か月を超えるもの | 5万円を超えるもの |
金額は役務の対価だけではありません。入学金、受講料、教材費、関連商品の販売を含めた契約金の総額で判定します。
そして重要なのは、対面に限られないことです。消費者庁は「役務の内容がファックスや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれます」としています。3か月で6万円のオンライン英会話は語学教室に、2か月を超えて5万円を超えるオンラインのパソコン講座はパソコン教室に該当しえます。
該当すると、事業者には次の義務が生じます。
- 契約の締結前に契約の概要を記載した概要書面を、締結後に遅滞なく契約書面を交付する
- 書面を受け取った日から8日間はクーリングオフを受け付ける
- クーリングオフ期間の経過後も、将来に向けた中途解約に応じる
- 前払方式で5万円を超える場合は、貸借対照表などの書類を用意し、消費者の求めに応じて閲覧させる
中途解約のときに請求できる額にも上限があります。役務の提供開始前なら、語学教室は1万5000円、学習塾は1万1000円、家庭教師は2万円といった具合に役務ごとに定額が定められています。提供開始後は、提供済みの対価に加えて、役務ごとに定められた額(語学教室なら5万円か契約残額の20%の低いほう、など)が上限です。
ECの購入フローは、カートに入れて決済したら完了する形が標準です。書面の交付、クーリングオフの受付、中途解約の精算は、そのフローの中にありません。該当する商材を売るなら、決済とは別に契約の仕組みを用意することになります。
なお、海外にいる人に対する役務の提供は適用除外です。
権利残高型は資金決済法がかかる
自社ポイント、プリペイド残高、商品券、回数券を売る場合は、前払式支払手段の発行にあたることがあります。
あたることがある、と書いたのは、名称では決まらないためです。対価を受け取って発行していること、金額や数量が記録されていること、その記録を使って代価の弁済ができることといった要件で判定します。ポイントと呼んでいても、無償で付与するだけなら対価を受け取っていないので該当しません。
適用除外もあります。発行から有効期限までが6か月以内のもののほか、乗車券、美術館などの入場券、社員食堂の食券は法の適用対象外です(法第4条第1号、政令第4条第1項)。イベントのチケットを売るからといって、直ちに規制の対象になるわけではありません。
該当する場合の話に進みます。自社の店でしか使えないもの(自家型)を発行しているだけなら、すぐに届出が要るわけではありません。基準日は毎年3月末日と9月末日で、この時点の未使用残高が1,000万円を超えたときに義務が発生します。未使用残高とは、総発行額から総回収額を引いた額です。複数の前払式支払手段を発行しているなら、合計して判定します。
超えたら、基準日から2か月以内に次の両方を済ませます。
- 未使用残高の2分の1以上を供託所へ供託する(金融機関との発行保証金保全契約、または信託会社との発行保証金信託契約で代えることもできます)
- 管轄の財務局長等へ発行届出書を提出する
届出を怠ると罰則の対象になります。
有効期限を6か月以内にするかどうかは、前述の適用除外に直結する設計上の判断になります。
自社の店以外でも使えるようにする(第三者型)なら、残高の多寡にかかわらず事前の登録が必要です。
消費税は買い手の所在地で決まる
デジタルコンテンツの配信は、消費税法上の電気通信利用役務の提供にあたります。役務の提供が国内取引にあたるかどうかは、原則として役務の提供が行われた場所で判定します。ところがインターネットを介した配信では、提供が行われた場所を決めようがありません。そこでこの類型だけは、役務の提供を受ける者の住所等で判定することになっています(2015年10月1日から)。
国内の消費者へ配信するなら、売り手が国外にいても国内取引として課税されます。逆に、国外の消費者へ配信する分は国内取引になりません。
越境で売る設計にするなら、購入者の所在地を取得して税区分を分ける必要があります。カートの標準機能で分けられるかを確認してください。
著作権とライセンスの範囲を書く
データを売ったときに何を許諾したのかは、書いていなければ争いになります。個人利用に限るのか、商用利用を認めるのか、二次配布や改変を認めるのか。購入者が知りたいのはここで、商品ページに書いていないと問い合わせが増えます。
素材やテンプレートを売る場合は、ライセンスの条文を別ページに置き、商品ページから参照させる形が扱いやすくなります。
納品と不正への備え
「届いていない」と言われたときに何を出せるか
無形商品には配送伝票がありません。チャージバックの申し立てを受けたときに、納品した証拠として何を出せるかは、カートによって差があります。
Shopify の Digital Products アプリは、注文ごとにダウンロードが完了した日時、購入者のIPアドレス、ダウンロードに使われたブラウザとオペレーティングシステムを記録します。注文をCSVで書き出すこともできます。一方、カラーミーショップはダウンロードの有効期限も回数の制限も設定できません。
証跡を持っているかどうかは、月商が小さいうちは気になりませんが、単価が上がるほど効いてきます。
ファイルを差し替えたときに、過去の購入者へ届くかどうか
商品を更新する運用は、サービスによって扱いが違います。ここは事前に把握しておかないと事故になります。
カラーミーショップのダウンロードURLには期限がありません。そのため、既存の商品のファイルを新しい内容に差し替えると、過去に発行されたURLからも新しい内容がダウンロードできてしまいます。差し替えが過去の購入者全員に及ぶことを止められないので、公式ヘルプは、完全に新規の内容であれば必ず新規商品として登録するよう案内しています。
Shopify は事業者が選べます。公式ヘルプには、デジタルファイルを編集または削除すると以前の購入者がダウンロードリンクからアクセスできなくなるという注意書きがある一方、ファイルを置き換える手順も用意されています。置き換えるときに更新されたリンクを含むメールを既存の顧客へ送ることを選べば、ダウンロード制限に達していない顧客は置き換え後のファイルを取得できます。
「誤字を直したので差し替える」という同じ操作でも、カラーミーショップでは全員に及ぶことを制御できず、Shopify では及ぼすかどうかを操作のたびに決められます。
二次配布は完全には防げない
データは複製できます。技術的に配布を止めることはできません。できるのは、抑止と追跡です。
ダウンロード回数の上限を設ける、プレビュー画像に透かしを入れる、ファイルに購入者を識別できる情報を埋め込む。このうちダウンロード回数の制限は、Shopify では商品バリエーションごとに設定でき、カラーミーショップでは設定できません。BASE は回数と期限があり、切れた場合はショップ側が注文詳細ページからリセットできます。
どこまでやるかは、商材の単価と再販の被害額で決めます。
返金の条件を先に決める
返品特約の表示義務は前述のとおりですが、書く内容そのものを先に決めておかないと、注文が来てから場当たりの対応になります。
決めるのは3つです。返金に応じない時点はいつか。契約不適合のときにどう対応するか。サブスクリプションなら解約はどの画面からできて、いつまでに申し出れば次回の課金を止められるか。
解約の導線は特に見られます。解約方法が分かりにくい設計は、最終確認画面の表示義務違反や行政処分の理由になっています。
主要サービスは無形商品にどこまで対応しているか
ダウンロード型を売る場合の対応状況です。すべて2026年9月8日に公式情報で確認しました。この表はデータのダウンロード販売についてのもので、無形商品全般を扱えるかどうかを示すものではありません。
| サービス | ダウンロード販売 | 1商品あたりの上限 | 主な制約 |
|---|---|---|---|
| GMO MakeShop | × | — | 公式FAQが「有形物の販売を想定しており、画像や音楽などのダウンロード販売に特化した機能のご用意はございません」と明記。ダウンロード販売以外の無形商品については別途確認が要る |
| カラーミーショップ | ○ 標準機能 | 1商品1ファイル、200MB | HTMLファイル不可。通常商品と同時購入不可。ダウンロードの有効期限と回数制限を設定できない。代金引換、NP後払い、PayPal、Amazon Pay(イプシロン)、楽天ペイ、PayPay、クロネコwebコレクトが使えない |
| Shopify | ○ 公式の無料アプリ Digital Products | 1ファイル5GB。バリエーションごとに複数ファイル可 | 外部サービスのリンク販売は指定プロバイダのみ(Notion、Calendly、Google Drive、Vimeo など)。チェックアウト画面からのダウンロードは有料プランが必要 |
| Wix | ○ Wixストアのデジタルファイル | 画像50MB、音声100MB、文書とzipは1GB | アップロードはサイトオーナーのみ(共同管理者は不可)。音声はステレオのみ |
| BASE | ○ デジタルコンテンツ販売 App | 1GB以下 | クレジットカード決済と Pay ID あと払いのみ。一度に複数個を購入できない。スマートフォンからのダウンロードは非推奨 |
| STORES | ○ アイテム形式「デジタル」 | 1アイテム1GB(ストア全体の合計は無制限) | 1アイテム1ファイル。ファイル名は半角英数字とハイフンとアンダーバーのみ。同じファイル名で別アイテムを作るとデータが上書きされる |
| EC-CUBE | △ 本体の標準機能ではない | プラグイン次第 | 公式ストアに3件のプラグイン(22,000円から55,000円・税込)。保守は自社 |
| おちゃのこネット | × | — | 公式FAQが「おちゃのこネットは物流を伴う商品の販売を前提としたカート仕様です。ダウンロード型のデジタルコンテンツの販売には対応しておりません」と明記(2016年10月28日付。今後の対応予定も無しとしている) |
「対応している」の中身が違う
表で ○ が付いていても、できることの幅は同じではありません。
BASE と STORES と カラーミーショップは、ファイルを配る仕組みを持っている段階です。設定は簡単ですが、決済手段の制限が大きく、有形商品と同じカートに混ぜられません。Shopify は、既存の有形商品にデジタルファイルを追加できます。レコードにMP3を付けて売るような構成が組めます。納品の証跡も残ります。Wix は、ファイル形式ごとに上限が違う点が特徴です。動画を売るなら1GBのzipに収める必要があります。
MakeShop とおちゃのこネットは対応していません。どちらも公式に明言しています。
ただし、この2つが「無形商品を一切売れない」という意味ではありません。公式が述べているのは、データのダウンロード販売に対応する機能が無いということです。コンサルティングや制作代行のように、納品がカートの外で完結する無形商品まで否定しているわけではありません。その場合でも、商品の内容、納品の方法、利用規約、使える決済の条件は個別に確認が要ります。
役務提供型と権利残高型は表の外にある
上の表はダウンロード型の話です。役務提供型と権利残高型は別に見る必要があります。
権利残高型には標準機能を持つサービスがあります。Shopify にはギフトカードの機能があり、管理画面からギフトカード商品を作って販売できます。STORES には電子チケットという商品形式があり、発券して利用状況を確認でき、チケットにスタンプを押して使用済みにできます(電子チケットは商品金額の2%が発券手数料として購入者負担で加算されます)。
ただし、売る機能があることと、資金決済法の届出や保全まで片付くことは別です。発行残高の管理と届出の判断は、機能の外にある事業者の仕事として残ります。
役務提供型を標準機能で完結できるサービスは、この中にありません。オンライン講座なら、決済はカートで受けて、受講の管理は会員サイトや講座配信のサービスに分ける構成が現実的です。Shopify が Teachable や Thinkific へのリンクを商品として売れるようにしているのは、この分担を前提にしています。予約が伴うレッスンや施術なら、予約システム側で決済まで完結させたほうが早くなります。特定継続的役務提供に該当する場合は、概要書面と契約書面の交付、クーリングオフの受付、中途解約の精算が要ります。これを標準で持つカートはありません。
どう選ぶか
商材の型と、扱いたい規模で決まります。
ダウンロード型で、点数が少なく、まず始めたいBASE、STORES、カラーミーショップ。設定が短時間で終わります。決済手段の制限を受け入れられるかだけ確認してください。
ダウンロード型で、有形商品と同じ店で売りたいShopify。同一の商品にデジタルファイルを追加できるのはこの中では Shopify だけです。
ダウンロード型で、納品の証跡を残したいShopify。ダウンロード日時とIPアドレスの記録は、単価が高い商材ほど効きます。
サイトの見せ方が主で、データの販売は付随Wix。ファイルサイズの上限だけ先に確認してください。
ギフト券やチケットを売りたいギフトカードなら Shopify、電子チケットなら STORES に標準機能があります。ただし前払式支払手段に該当するかの判定と、該当した場合の残高管理は自社の仕事として残ります。
役務提供型で、要件が標準機能に収まらないEC-CUBE、または外部サービスとの組み合わせ。契約書面の交付やクーリングオフの受付が要る商材なら、カート単体では完結しません。
すでに MakeShop やおちゃのこネットを使っていて、データのダウンロード販売を追加したいどちらも標準機能では対応していないため、別の仕組みが要ります。現状の運用を踏まえた設計が必要なので、個別に相談してください。
よくある質問
無形商品はどのECサイトでも売れますか。
売れません。データのダウンロード販売に対応していないカート(GMO MakeShop、おちゃのこネット)があり、商材によっては決済会社が加盟店として受け付けません。占い、私立探偵、国際結婚仲介、投資や再販での稼ぎ方を教えるコンサルティングなどは、決済会社の禁止業種に挙げられていることがあります。ただしこれは決済会社が扱わないという意味で、その販売が違法という意味ではありません。カートを契約する前に決済代行会社へ確認してください。
ダウンロード販売でも送料の表示は必要ですか。
不要です。データの配信に運送は介在しないため送料が生じません。権利と役務にはそもそも送料という概念がないため規定もありません。ただし価格以外に購入者へ負担させる金銭があるときは、その内容と金額を表示する必要があります。
オンライン講座を売るとクーリングオフの対象になりますか。
語学、学習塾、家庭教師、パソコン教室にあたる内容で、期間が2か月を超え、契約金の総額が5万円を超えるなら、特定継続的役務提供として対象になります。インターネット経由での提供も含まれます。該当すると、概要書面と契約書面の交付、書面受領日から8日間のクーリングオフ、中途解約への対応が義務になります。
自社ポイントや回数券を売るとき、届出が必要になるのはどの時点ですか。
まず前払式支払手段に該当するかを確認します。対価を受け取って発行しているか、金額や数量が記録されているか、その記録で代価を弁済できるかで判定します。発行から有効期限までが6か月以内のもの、乗車券、入場券、社員食堂の食券は適用除外です。該当する場合、3月末日または9月末日の時点で未使用残高が1,000万円を超えたときに義務が生じ、その基準日から2か月以内に、未使用残高の2分の1以上を供託して届け出ます。
海外の顧客にデジタルコンテンツを売ったら消費税はかかりますか。
かかりません。電気通信利用役務の提供は、役務の提供を受ける者の住所等で国内取引かどうかを判定します。国外の顧客への配信は国内取引になりません。逆に、国内の顧客への配信は売り手が国外にいても課税されます。なお、この判定基準は電気通信利用役務の提供に固有のものです。通常の役務提供は、原則として役務の提供が行われた場所で判定します。
ファイルの不正コピーは防げますか。
技術的に止めることはできません。ダウンロード回数の上限、プレビューへの透かし、購入者を識別できる情報の埋め込みで抑止と追跡を図ることになります。ダウンロード回数の制限は Shopify では設定でき、カラーミーショップでは設定できません。
オンライン講座を「返品不可」と書けば返金しなくて済みますか。
済みません。特定継続的役務提供に該当する契約なら、事業者が定めた返品不可の表示にかかわらずクーリングオフと中途解約が適用されます。該当しない場合でも、配信されない、内容が説明と違うといった契約不適合には別途対応が要ります。なお、通信販売の法定返品権(8日以内)の対象は商品と特定権利の売買契約で、役務の提供を受ける契約は含まれません。
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